('A`)は撃鉄のようです
- 6 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 20:48:40 ID:tpcqJCsI0
≪1≫
早朝、遠くの空が白く輝き始めた頃。
今まで後回しになっていた戦いの決着をつけようと、一人の男が荒野に佇んでいた。
(,,゚Д゚)「……遅かったな」
('A`)「早起きは苦手だ」
ギコの前に来ると、ドクオは首の骨を鳴らして両手足のストレッチを始めた。
体の調子を確かめるような入念なストレッチに、ギコは冷静に助言した。
(,,゚Д゚)「まだ休んでてもいいんだぞ。お前のが重症だ」
('A`)「動く体と気合がある。他は全部置いてきた」
(,,゚Д゚)「……そうかよ」
互いに傷も癒さぬまま、男二人は前を向き、倒すべき相手を目に焼き付ける。
なにも今ここで戦う必要はない――だが、それでもこの決着が欲しい。
理屈や言葉ではどうにもならない、酷く野蛮な欲求。
その欲求は、超能力などという馬鹿げたものがあるからこそ湧いてくる。
超能力の存在が、夢に描いた男の生き様を肯定し、実現するのだ。
.
- 7 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 20:49:38 ID:tpcqJCsI0
(,,゚Д゚)「何だっていい……こないだの借りを返す。それだけだ」
ギコは右手に隠し持ったペンライトを点け、そこから光を吸収した。
吸収された光はギコの体に溶け込み、ほのかに彼の全身を輝かせる。
光はやがて両腕の前腕部に集中し、鋭利な刃として両腕に具現化した。
朝日を反射するほど研ぎ澄まされた刃が両腕に一つずつ。
その刃には、人肌を斬るに余りある十分な切れ味があった。
(,,゚Д゚)「使え」
そう言い、ギコは空中にペンライトを放り投げた。
('A`)「……上等だ」
両足を広げ、左腕を突き出す。
ドクオは空中のペンライトから光を根こそぎ奪い取り、それを超能力として肉体に具現化した。
一瞬後、彼の左腕は鋼鉄の装甲に覆われ、背の右側には撃鉄を模した突起が現れた。
人から譲り受けた超能力だが、今は確かにドクオ自身の超能力としてここにある。
自分自身を肯定する拳――男にとって、それは何より強い武器になりうる。
新たな力を手に入れたドクオの意思は、以前よりも強固になって胸の奥に秘められていた。
.
- 8 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 20:51:07 ID:tpcqJCsI0
風が吹き、砂塵が舞い上がる。
同時に、二人の男が大地を踏み締めた。
(#'A`)「避けんなよ!」
怒号の次、ドクオは背の撃鉄を意識した。
そこに内包された膨大なエネルギーが、撃鉄が落ちると同時に一気に爆発する。
撃鉄から噴出したエネルギーは翼のように大きく広がり、彼の背中で光り輝いた。
(;,,゚Д゚)(こいつか、看守長と互角だったっていうのは……!)
光の粒子が生み出す強力な推進力を一点に絞る。
ドクオは弾けるように空に上がると、体を回転させて落下しギコに拳を向けた。
(#,,゚Д゚)「――上等! 正面から切り刻む!」
(# A )「撃動のおッ――!」
ギコも相対して両腕の刃を構え、襲いくるドクオめがけて刃を振るった。
ただ、決着をつけるためだけに戦う。
二人の能力者がぶつかりあったその瞬間、二人の姿は、太陽の鮮烈な輝きの中に消えていった。
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- 9 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 20:52:00 ID:tpcqJCsI0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
レムナント監獄。ここは最近まで完璧な法治施設として機能していた。
ダディクールは、早くもそれを昔の事のように感じていた。
あの夜、ドクオがどこかから光源を手に入れて脱獄を開始。
看守長が倒れた後、切り札とも言えるオサムが超能力を発動して監獄は大半の機能を喪失。
それが決定打となり、メシウマ側は施設の完全放棄を決定。彼らは脱獄は成功した。
一件がとりあえずの落ち着きを見せた今、ここに居た囚人達は殆どが脱獄を済ませている。
監獄には、囚人のほんの一部が残った。
彼らの思惑はそれぞれ違っていたが、皆一様に同じ人間の起床を待っていた。
早朝。
考え事の最中、外の異様な物音に気付いたダディクールは、鉄格子から外を覗くと同時に頬を弛ませた。
彼らの待ち人の名前はドクオ。このとき、脱獄の一夜から既に一週間が経過していた。
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- 10 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 20:53:13 ID:tpcqJCsI0
≪2≫
素直ヒートの一度目の起床はギリギリ午前中だった。
二度目の起床は午後二時。しかし、彼女が最終的にベッドを降りたのは午後四時頃だった。
ノパ⊿゚)「おーす」
夕日が差し込む広々とした一室。
ここは看守長の私室として使われていた部屋だが、家具を入れ替えた今はダディクール達の溜まり場と化していた。
素直ヒートは雑多に並べられたソファに腰掛け、持ってきた菓子の袋に片手を突っ込んだ。
ノパ⊿゚)「で、なにか進展は?」
(,,゚Д゚)「おいダディクール」
|;(●), 、(●)、|「待て待て、彼女がアレなのはもう諦めてくれ」
このバカを追い出せと言わんばかりに開口したギコをなだめ、ダディクールはヒートの質問に答えた。
|(●), 、(●)、|「進展なら大いにあった。お前が寝ている間にな。まずドクオが起きた」
ノハ;゚⊿゚)「やっとか! どんだけ寝てたんだアイツ!」
(#,,゚Д゚)「おいダディクール!」
|;(●), 、(●)、|「諦めてくれ!」
.
- 11 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 20:56:05 ID:tpcqJCsI0
ノパ⊿゚)「まぁなんにせよ進展ありか~~~よかったなぁ~~~~~~」
そう言いながらも彼女の意識は菓子に集中している。
バリバリと中身を頬張るせいで、菓子袋は瞬く間にしぼんでいった。
|(●), 、(●)、|「ヒート、悪いがそれを食べ終わったら身支度をしてくれ」
ノパ⊿゚)「……身支度? これを腹に詰めたら終わりだけど?」
彼女は菓子袋を掲げ、得意気に微笑んだ。
|(●), 、(●)、|「だったらいい、我々もすぐに出発だ」
ノパ⊿゚)「……我々も?」
ダディは立ち上がって厚手のオーバーコートを羽織り、用意しておいたボストンバッグを肩にかけた。
(,,゚Д゚)「てめえの分だ、女扱いされたくないなら持て」
ヒートに鞄を一つ投げると、ギコも腰を上げて自分の支度に取り掛かった。
ノハ;゚⊿゚)「……なんだ? どっか行くのか?」
|(●), 、(●)、|「私達はドクオの旅路に乗っかる事にした。結構デカイ恩もあるしな」
(,,-Д-)「荒巻を倒すんだとよ、俺達でな」
ノパ⊿゚)
ノハ;゚⊿゚)「……マジ?」
呆気にとられた素直ヒートを引きずりながら、かくして三人は夕日の荒野を歩き出した。
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- 12 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 20:57:25 ID:tpcqJCsI0
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第十六話 「仲間を求めて」
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- 13 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 20:58:06 ID:tpcqJCsI0
――ドクオが目を覚まし、ギコとの決着をつけた後。
まだ早朝という時間帯に、彼らは元看守長私室の溜まり場に集合していた。
ダディクールが言うに、ドクオが寝ている間にメシウマ側の事が色々判明したそうだ。
現状を把握するため、そして次の行動を決定するために、ドクオは彼の話を聞く事にした。
ソファに深々と座り、ダディクールは事の前置きを話し始めた。
部屋の方々にはギコと棺桶死オサムの姿があった。
|(●), 、(●)、|「自己紹介はやり直したほうがいいかな?」
('A`)「……ダディ、なんとか」
|(●), 、(●)、|「……必要なさそうだ。本題に入る」
ダディは股座で手を組んだ。
|(●), 、(●)、|「ここに残っているのは我々だけ。共通点はひとつ、君だ」
('A`)「……」
|(●), 、(●)、|「恩返しなどと言えば聞こえはいいが……。とりあえず、これを読んでほしい」
.
- 14 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:00:22 ID:tpcqJCsI0
ダディクールに差し出された物には見覚えがあった。
今の今まですっかり忘れていたが、それは素直クールのペンダントと一緒に送られてきた、盛岡デミタスからの手紙だった。
ドクオは手紙を開け、内容に目を通した。
『一ヵ月後、レムナント全土を制圧する為の制圧部隊がそっちに向かう。』
『荒巻の寝首をかくならそのタイミングしかない。』
『追記:こう書けば罠でも飛び込んでくると信じた上で、お前の再起を願って書いておく。』
『素直クールはまだ生きている。』
(;'A`)「……」
最後の一行を読んだ瞬間、ドクオの頭からあらゆる言葉が抜け落ちた。
抜け落ちた言葉のかわりに、いま目の前にある手紙の一文が脳内を駆け巡っていく。
思えば実に間抜けた話だった。
今まで彼が抱えていた不安は、そもそも最初にこの手紙を読んでおけば杞憂として片付けられた。
一時とはいえ、仲間になると言って握手までした相手の言葉だ。多少の疑念はあれど、信頼に足る。
(;'A`)「……昔、車のドアが開けられなくて泣いたことがある」
(;'A`)「そんな早とちりが、どうやら今でも直ってないらしい……」
独り言のように言い、ドクオは手紙を畳んだ。
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- 15 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:02:19 ID:tpcqJCsI0
('A`)「……読んだぞ」
ドクオから手紙を返されると、ダディはすぐ次の話に移った。
|(●), 、(●)、|「うむ。それで私は手紙に示唆されていた事をちょっと調べてみた。
もちろん私だって本気にした訳じゃあない。
君が起きるまでの暇潰しに、と思って始めたのだが……」
|(●), 、(●)、|「結果、今まさに我々が居るこの部屋で、コレを見つけたのだ」
次に彼が出してきたのはピンク色の手帳。
目を疑うような前時代的デコレーションが施されたその手帳は、表紙を見るに、看守長カーチャンの私物のようだった。
|(●), 、(●)、|「中身は日記だ。最近のを面白半分に読んだら、こう書かれていた」
|(●), 、(●)、|「『本部から召集! 二週間後にはここを離れなくちゃ☆』」
( 'A`)「そこ完全再現するのか?」
(,,-Д-)「向こうの連中がいよいよ本腰を入れて攻め込んでくるって事だ。
今はこうして自由にやってられるが、また好き勝手されりゃあ水の泡だ」
(,,゚Д゚)「手紙の内容を信じるなら三週間で全面戦争。
しかもこの戦いの存在を知ってるのは俺達だけ。結果は目に見えてる」
.
- 16 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:04:45 ID:tpcqJCsI0
('A`)「……おう、それが?」
ドクオはさも人事のように聞き返した。
|(●), 、(●)、|「君の目的、察するに『素直クール』という人なのだろう?
その人は今、メシウマ側に何らかの形で拘束されている……違うか?」
('A`)「……大体合ってる」
|(●), 、(●)、|「ドクオ君、この制圧作戦がもし本当に起こったなら、君はどうする?」
( 'A`)「……回りくどいな。要点だけ言えよ」
|(●), 、(●)、|「……また改めて、我々と手を組んでもらいたい。
制圧部隊を迎え撃ち、更にこちらから打って出る。
そのための仲間を、私はこれから集めていくつもりだ」
|(●), 、(●)、|「今は仲間は三人だけ。ギコと棺桶死オサム、素直ヒート」
('A`)「……最後の奴は誰だ?」
|(●), 、(●)、|「素直クールとは同姓なだけだ。確認したが見ず知らずだったよ」
.
- 17 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:07:06 ID:tpcqJCsI0
('A`)「……」
ドクオは顔を上げ、部屋の大窓から外を眺めた。
('A`)「まあ、そうだな」
窓から見えるのは草一本と生えていない地面と、監獄を囲う高い壁。
すこし気分を整えようと外を見てみたが、そんなものを見た所で気分は変わらない。
ドクオはぼんやりと外を見ながら、ダディクールの誘いに返事した。
('A`)「一人じゃ無理なのは分かったから、遅かれ早かれ、味方が必要だとは思ってた」
('A`)「……それで具体的にどうする。今から向こう側行って暴れるのか?」
|(●), 、(●)、|「それもいいが、今は残された時間を活用するべきだろう」
彼の問い掛けを快諾と受け取ったダディは、大きな机を部屋の真ん中に引っ張ってきた。
机上には既にレムナントの地図が広げてあった。
全員を机の周囲に集め、ダディは話を再開した。
|(●), 、(●)、|「長くて三週間、短くて二週間。それがこちら側に残された猶予だ」
|(●), 、(●)、|「その間、我々は手分けして行動し、制圧作戦の事を吹聴しながら各地で仲間を集める。
最終目的地はレムナントの中心街『クソワロタ』。
そこで落ち合うのが安全だと、私は考えている」
|(●), 、(●)、|「お互い、みんなで一緒に歩くなんて柄でもないだろう。
とりあえず勝手に行動して、最後に合流するのが手っ取り早いと思うが……」
ダディは皆を一瞥し、意見を煽った。
( 'A`)「そいつは良いが、装備が一通り欲しい。
俺が向こうで戦えたのは装備が充実してたからだ。武器も無しじゃ分が悪いぞ」
(,,゚Д゚)「そこには当てがあるんだよな?」
ギコが間に入って尋ねると、ダディは深く頷いた。
.
- 18 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:08:38 ID:tpcqJCsI0
ダディは地図に指を置き、進路ををなぞりながら話した。
|(●), 、(●)、|「ここが現在地、レムナント監獄」
|(●), 、(●)、|「武器の補充はこの酒場、バーボンで可能だ。
店主はもうここを出発して、武器の調達を始めている」
('A`)「店主? ここの囚人だったのか?」
(,,゚Д゚)「ほらあいつだ、あいつ居るだろ。
初日お前に突っかかってきたデカイやつ。あいつだ」
('A`)「……あのデカブツか?」
ギコの的確な補足が光る。補足王ギコの誕生だった。
|(●), 、(●)、|「意外な縁だろう。本当に運が良かった」
ダディはペンを手に取り、地図上に二つの線を引いた。
|(●), 、(●)、|「二手に分かれよう。北へ向かって仲間を集める組、西へ向かって武器を調達する組だ。
西への道は少し険しいが、行動は最短ルートをとってほしい」
( 'A`)「……」
地図をじっと見たまま、ドクオはある事を迷っていた。
その迷いを振り切ると、ドクオは地図の一点を指差して言った。
( 'A`)「……ここ、バーボンへの進路に俺の故郷がある。久し振りに帰ってみたい」
.
- 19 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:09:49 ID:tpcqJCsI0
ダディは、ドクオの語気から複雑な心境を察した。
|(●), 、(●)、|「西へ行きたい、という事か?」
あえて聞き返してたが、ドクオはすぐに頷いて答えた。
そのとき突然、硬く口を閉ざしていた棺桶死オサムが窓の方を向いた。
|(●), 、(●)、|「敵か?」
【+ 】ゞ゚)「……知らない気配が急に現れた。どんどん監獄から離れていく」
|(●), 、(●)、|「知らない? もうここには我々以外は居ないはずだが……」
('A`)「……まさか……」
(,,゚Д゚)「……あっ、そういや一人居たな。ミルナとかいう奴」
ドクオの囁きを切欠に、補足王ギコはミルナの存在を思い出した。
.
- 20 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:12:44 ID:tpcqJCsI0
(,,゚Д゚)「多分そいつだ。外が静かなもんだから這い出てきたんだろ。
気にするまでもねえ男だ」
('A`)「――行ってくる!」
補足王ギコが言い切る前に、ドクオは大窓を開けて外に飛び出した。
突拍子も無い行動に驚いたダディは急いで立ち上がって言った。
|;(●), 、(●)、|「おいっ! どこに行くんだ!」
( 'A`)「ミルナを追う! そっちはそっちで好きにしてくれ!」
地面に着地した途端、彼はすぐに走り始めた。
(;,,゚Д゚)「ハァ!? おい待てよ!」
【+ 】ゞ゚)「――荷物だ! 持って行け!」
咄嗟に追いかけようとした補足王を引きとめ、オサムは食料が入ったバッグを空に投げた。
(;,,゚Д゚)「おい棺桶死、止める相手ちげえだろ!」
【+ 】ゞ゚)「……いや、これでいい」
含みのある言い方に、補足王は言葉をなくしてオサムを見た。
【+ 】ゞ゚)「あの男のセリフを確かめる」
(;,,゚Д゚)「あぁ……?」
|;(●), 、(●)、|「一週間後、クソワロタで落ち合おう! 武器の調達は任せたからな!」
( 'A`)「分かった!」
ドクオはバッグを上手く受け止めると、ダディ達に軽く手を振って走っていった。
.
- 21 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:13:25 ID:tpcqJCsI0
|;(●), 、(●)、|「……やれやれだ」
ドクオの後ろ姿が荒野に消えたのを見送り、ダディは溜め息交じりに呟いて頭を切り替えた。
振り返って室内の二人を一瞥し、開き直ったようにハキハキと言う。
|(●), 、(●)、|「まぁ、あっちはあっちだ。任せてこっちの予定を進めよう」
(;,,゚Д゚)「……俺達、チームワークが必要だからこうしてるんだよな?」
|(へ), 、(へ)、|「そうだとも! 仲良くしような兄弟!」
(;,,-Д-)「すでにウンザリしてるからやめろ……」
【+ 】ゞ゚)「……」
その時、ダディクールは一人上の空になっているオサムを見逃していなかった。
何か思惑があってドクオを見送ったのだろうと薄々気付いてはいたが、今の彼の様子を見て、ダディは不意に予感した。
何かが起こるという漠然とした予感。そして、この予感が当たるという根拠のない自信があった。
|(●), 、(●)、|(……今はまだ、気にする必要もないか)
しかしダディはその予感を脳裏に追いやり、二人との話し合いを再開した。
.
- 22 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:14:42 ID:tpcqJCsI0
≪3≫
ノパ⊿゚)「……で、ドクオは西へ、あたしらは北へって訳か」
ダディが歩きながら振り返り、今後の予定を改めて口にする。
|(●), 、(●)、|「我々は仲間を増やしながらクソワロタへ向かう。
一週間で目的地に行き、道中出来る限り、制圧の事を知らせていく」
(,,゚Д゚)「仲間か……。簡単に増えれば話が早いんだがな」
ノパ⊿゚)「いや無理だろ、そういうのとは縁がねえ連中ばっかだぞ?
あの監獄に集まってた一匹狼の山盛りバカ沢山がその証拠だろ」
|(●), 、(●)、|「その心配は今更だ。
それに、一人くらいは居るかもしれない」
ノパ⊿゚)「なにが?」
|(●), 、(●)、|「我々の仲間になるような大バカ野郎」
ノパ⊿゚)「……そう言われると確かに居そうだ」
.
- 23 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:16:14 ID:tpcqJCsI0
|(●), 、(●)、|「ドクオ君も一週間後にはクソワロタに来る予定だ。
棺桶死も、なおるよを故郷へ送ったらクソワロタに来てくれるそうだ」
|(●), 、(●)、|「恐らく彼らには先に着かれてしまうが、まあその方が安心できる。
我々は最大限の遠回りをして進む。せいぜい心折れないようにな」
ノハ;゚⊿゚)σ「……おい、もう夜なんだが……?」
ふと、徐々に暗んでいく夕焼け空を見上げてヒートが言った。
(,,゚Д゚)「じゃあ野宿だな。適当な岩陰で一晩だ」
ノハ#゚⊿゚)「ハァ!? ふざけんな!」
(#,,゚Д゚)「てめえが早起きすりゃもっとマシだったんだよ!」
ノハ#゚⊿゚)「起こせばいいだろ! てか起こせよ!」
ギコが怒号を飛ばしてもヒートのブーイングは止まない。
ギコとダディは一人喚き散らすヒートを無視し、そそくさと歩調を速めた。
ノパ⊿゚)
置いていかれるのも嫌だったので、ヒートも口を閉じて彼らについていった。
.
- 24 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:17:17 ID:tpcqJCsI0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ドクオ、ダディクール達がそれぞれレムナント監獄を出発してから一晩が過ぎた。
その日、ミルナと行動を共にしていたドクオは、彼と一緒に小さな町にやって来ていた。
('A`)「……」
自分自身の故郷を忘れきれる人間は居ない。
ドクオもまた、自分の故郷であるこの町を覚えていた。
( ゚д゚ )「……行かないのか」
('A`)「……行ってくる。ちょっと待っててくれ」
ミルナを置き、一人で町に踏み入っていくドクオ。
過去との決着を望む彼にとって、これはいつか必ず通る道だった。
町を進んでいくにつれ、心臓の鼓動が早く強くなっていく。
そのうち、遠くに自分の家を――彼女との家を見つけた。家というにも貧相な、手作りの掘っ立て小屋だ。
ドクオはまず、そこへ向かうことにした。
帰路と記憶をたどりながら彼は歩いた。
愛した場所や記憶が、必ずしも人を幸福にする訳ではないと痛感しながら。
.
- 25 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:25:09 ID:tpcqJCsI0
1~15話 >>2
第十六話 仲間を求めて >>6-24
次回は今日中に投下する予定です
とても長い間お待たせすることになりますが、ご了承ください
- 29 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:55:02 ID:jK.adOAA0
- 撃鉄はミル→ドクの過程でかなり改悪させたんだっけか。だがそれがイイ
次回も楽しみにしてます
- 30 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 21:58:44 ID:uWgjhgPU0
- なんと長い間だろつ
- 31 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 22:05:03 ID:LbkCUjAc0
- >>25
おいおい、待ちすぎて風邪引いちまうぜ!
- 32 名も無きAAのようです[sage] 2014/11/17(月) 22:27:19 ID:g99JVt0.0
- 乙
次回の投下を楽しみに一日を頑張る
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