('A`)は撃鉄のようです

454  ◆gFPbblEHlQ[sage] 2015/08/17(月) 17:37:57 ID:zmb2k71.0

≪1≫




('A`)「――お前らは、信用出来ない」


(,,゚Д゚)「……じゃあ決まりだ。さっさと失せろ、部外者」

 言いながら、ギコはダディクールに視線を送った。
 俺の口車に乗れ。ギコの双眸はハッキリとそう語っていた。


|(●),  、(●)、|「……まぁ、どうするかは自由だ。
           仲間が必要なのはお互い様だと思っていたが、残念だ」

('A`)「……なんかあったら知らせに来るよ。
    関わった手前、それぐらいはさせてほしい」

 ドクオは俯いて歩き出し、部屋を後にした。
 彼を呼び止めようとする者は、誰も居ない。


.
455  ◆gFPbblEHlQ[sage] 2015/08/17(月) 17:38:56 ID:zmb2k71.0



ノパ⊿゚)「……ぬるい奴ら」

 ドクオが消えてから最初に喋ったのはヒートだった。

 彼女はソファに腰掛けると、暗い雰囲気に対抗するべくテレビを点けた。
 録画されていた適当な番組を再生し、音量を上げていく。


|(●),  、(●)、|「……あれが普通の反応だろう。
            我々の様子に違和感を覚えて、不信に思うのも仕方ない」

|(●),  、(●)、|「私だって出来れば止めたかった。
            しかし、あんな目で訴え掛けられてはなぁ……」

 ダディは嫌味たらしい微笑みをギコに向けた。

(#,,゚Д゚)「うるせぇぞ」

 ギコがそっぽを向き、悪態をつく。


(,,゚Д゚)「大体な、人死にくらいでビビる奴なら最初っから要らねぇんだ。
     ガキが消えて清々したくらいだ。食費も浮くしな」

ノパ⊿゚)「だよなぁ。でなけりゃ、こんな状況で外に追い出したりしねぇよなぁ」

ノパ⊿゚)「訂正するぜ。ひっでえ奴らだ。あんなガキ、いつ殺されてもおかしくねぇわ」

(,,゚Д゚)「……」

.
456  ◆gFPbblEHlQ[sage] 2015/08/17(月) 17:40:25 ID:zmb2k71.0



(,,゚Д゚)「……ちょっと行ってくる」


|(●),  、(●)、|「……どこに?」

(#,,゚Д゚)「便所だッ!! 聞くなクソ野郎!」

 早足で歩き出し、ギコも部屋を出て行った。
 


ノパ⊿゚)「……結局追うのかよ。あいつごと殺されるかもな」

|(●),  、(●)、|「……それはないさ」

 表情から笑みを消し、ダディは冷たく言い切った。

|(●),  、(●)、|「棺桶死、ヒート、話がある。
           ギコにも後で話すが、とりあえず聞いて欲しい」


.
457  ◆gFPbblEHlQ[sage] 2015/08/17(月) 17:41:35 ID:zmb2k71.0



【+  】ゞ゚)「……俺はギコの時でいい。もう少し、休みたい」

 部屋の片隅で蹲っていたオサムが、ダディを一瞥して言う。
 オサムの顔色はすっかり青ざめており、今にも倒れそうなほど衰弱した様子だった。


|(●),  、(●)、|「……なおるよなら、まだ生きてる」

【+  】ゞ゚;)「――ッ!?」

 そんな彼に対して、ダディは一切の装飾無しで真実を語った。


|(●),  、(●)、|「ギリギリだったが、一命を取り留めた」

ノパ⊿゚)「……お前、やっぱムネオのとこに行きやがったな」

|(●),  、(●)、|「ああ。他に頼る当てが無かった」


【+  】ゞ゚;)「まっ、待て!」

 話に割り込み、オサムは椅子を蹴飛ばして立ち上がった。

【+  】ゞ゚;)「あいつが生きてるって……」

|(●),  、(●)、|「……そうだ、生きている。あの時だって心臓はまだ動いてた。
            お前が第一発見者だが、確認しなかったんだな」

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458 名も無きAAのようです[sage] 2015/08/17(月) 17:42:15 ID:zmb2k71.0


【+  】ゞ゚;)「……なおるよは今どこだ」

|(●),  、(●)、|「まず私の質問に答えろ」

 ダディは語気を強めて言った。


|(●),  、(●)、|「あの状況で、どうして彼が死んだと思った?」

【+  】ゞ゚;)「……見て明らかだった」

|(●),  、(●)、|「お前はそんな思い込みで喋る奴じゃない。
            何か、彼が死んだと確信するようなものを見てしまったんだろう」

|(●),  、(●)、|「例えば、自分より強い誰か、とか」

【+  】ゞ゚;)「……」


ノパ⊿゚)「……じゃあコイツ、なおるよをやった犯人を見てるのか?」

|(●),  、(●)、|「……私はそう思っているし、もう犯人の見当もついている」


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459 名も無きAAのようです[sage] 2015/08/17(月) 17:43:18 ID:zmb2k71.0


|(●),  、(●)、|「棺桶死オサム。
           お前はミルナを探しに行って、なおるよを見つけたな」

【+  】ゞ゚;)「……」


|(●),  、(●)、|「そこで一つ聞きたい。
           もしかして、ミルナとなおるよは一緒に居たんじゃないのか?」

|(●),  、(●)、|「だからミルナを探す過程でなおるよを見つけられた。
           そうであるなら、犯人は殆ど決まったようなものだろう」

【+  】ゞ゚;)「……」

 畳み掛けるような追求に、オサムは口ごもって言葉を返せなかった。
 オサムは隠すことをやめ、ダディの言葉に頷いた。


【+  】ゞ-;)「……やった所は見てないが、『俺がやった』と奴は言った」

|(●),  、(●)、|「……ミルナは、他に何か言ってなかったか」

【+  】ゞ゚;)「……俺を殺したら他の奴には手を出さない、と言っていた。
        恐らくミルナは、あの姿を見た奴は全員殺す気でいる」


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460 名も無きAAのようです[sage] 2015/08/17(月) 17:44:11 ID:zmb2k71.0


ノパ⊿゚)「……おい、お前の能力って確かスゲー強かったよな。
     当然、勝ったんだよな?」

ノパ⊿゚)「勝ったからお前はここに居て、ミルナは居ないんだよな?」

 まさか――と思いながら、ヒートはオサムに問い掛ける。


【+  】ゞ゚)「……いや、負けた。俺はミルナに殺された」

【+  】ゞ゚)「死んだふりをして――というか、俺は実際しばらく死んでいた。
       ミルナはその間に消えた。俺が今生きてる理由は……」


ノハ;-⊿-)「……不可能を可能にする能力。てめぇも大概だな」

【+  】ゞ゚)「……ああ。心臓は今も再生中だ。三日もあれば、何とかなる」

 オサムは自身の胸に手を当てた。

【+  】ゞ゚)「……だが、どおりでなおるよを蘇生出来なかった訳だ。
        まだ生きていたとは、思ってもみなかった……」


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461 名も無きAAのようです[sage] 2015/08/17(月) 17:45:37 ID:zmb2k71.0


|(●),  、(●)、|「ミルナが今どこに居るか、分かるか?」

【+  】ゞ゚)「……時間をくれ。感知する」

 目を閉じ、オサムは右目の眼帯に集中した。

ノハ;゚⊿゚)「……まさか今からヤりにいくのか?」

|(●),  、(●)、|「当然。敵は誰であれ早々に消す」



【+  】ゞ-;)「……居た。商店街の外れだ。誰かと戦ってる」

|(●),  、(●)、|「相手は誰だ?」

【+  】ゞ-;)「……駄目だ、分からない。俺よりは善戦しているが……」


ノハ;゚⊿゚)「――おいダディ! あっち方角だ!」

 その時だった。
 ヒートが窓を開けて外に身を乗り出し、遠くの空を指差した。

 呼ばれて見に行くと、雨雲の一部が黄金色に輝いているのが目に入った。
 そして、光り輝く空の中には黒い影があった。
 影は何かの追跡を振り切ろうとしているのか、凄まじい速さで空中を飛び回っている。


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462 名も無きAAのようです[sage] 2015/08/17(月) 17:46:36 ID:zmb2k71.0





 「――勝手に、失礼するよ」


 誰もが外に目を向けていた、その時。

 声は、唐突に彼らの背後に現れた。




|;(●),  、(●)、|「――――ッ!」

 ダディは振り返りながら超能力を発動し、視界に入った人影に向けて火炎を打ち出した。
 しかし炎は容易くよけられ、空中で四枚の紙切れに変化する。




¥・∀・¥「……四万か。はした金だが、まぁ頂いておこう」

 タキシード姿の男は床に落ちた紙切れを拾ってから、ダディ達に面と向かった。


¥・∀・¥「……全員ザコだな。話にならん」

ノパ⊿゚)「……あぁ?」

¥・∀・¥「フン」

 ヒートの威嚇に対し、男は生意気に鼻を鳴らした。

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463 名も無きAAのようです[sage] 2015/08/17(月) 17:47:24 ID:zmb2k71.0


 ふと、男が指をパチンと鳴らした。
 すると空中に黒い渦のようなものが生まれ、その中から二つの物体が落ちてきた。


\(;^o^)/「――またかよッ!」 ドテッ

(;,,゚Д゚)「おおおッ!?」 ドテッ

 床に落ちた二人を見て、ダディ達は揃って目を丸くした。


¥・∀・¥「こいつ、お前らの仲間だろう。
       ドクオとやらを追って戦いに行こうとしていたから、止めてやった」

 男は拾った紙切れで顔を扇ぎ、得意気に言った。


|;(●),  、(●)、|「……片方は知らんが、片方は確かにそうだ。
            だが、お前は一体何者だ……?」


 すると正体不明の二人組は一度顔を見合わせ、


¥・∀・¥「瀕死の金持ち」

\(;^o^)/「死にまくってる貧乏人……」

 とだけ答えた。


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464 名も無きAAのようです[sage] 2015/08/17(月) 17:48:07 ID:zmb2k71.0



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            ('A`)は撃鉄のようです

            第三部 荒野の果てに

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465 名も無きAAのようです[sage] 2015/08/17(月) 17:48:57 ID:zmb2k71.0




 ――雨は止み、雨雲も消え去り、夜が間近に迫っていた。
 夕日が、少しずつ地の底へと落ちていく。


( ゚д゚ )「…………」

( A )

 意識を取り戻したミルナが最初に見たのは、血だらけで気絶したドクオの姿だった。

 ミルナは周囲を一望し、壊滅した街の光景を見て理解した。
 tanasinnを制御出来ず、求めた以上の破壊をしてしまった事実が目の前に広がっている。

 しかし、ミルナの心に後悔はなかった。


( ゚д゚ )(……間違ってても突き通したいものがあるなら、やるしかない。
     そうする事でしか自分を救えないなら、悪と呼ばれる覚悟をして前へ……)

( ゚д゚ )(……この力を選んだ俺も、この考えすらも、間違っているかもしれない。
     だが、もうそれでいい。俺は決めた)

 ドクオに背を向け、一歩、夕闇に向かって踏み出す。


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466 名も無きAAのようです[sage] 2015/08/17(月) 17:50:07 ID:zmb2k71.0


( ゚д゚ )(俺はこの間違いを貫く)

( ゚д゚ )(正しさの為に立ち止まるくらいなら、俺はもう、間違ってでも生きていく)


 己の正義に殉じた自分。
 理想の為に、己の生き方すら忘れた自分。

 それらを全て捨て、ミルナは果てしない荒野を一から歩き始める。
 身体一つとまっさらな信念を持って、いつか辿り着くその場所へと――


( ゚д゚ )(この道の向こうにしか俺の居場所は無い。
     どれだけこの手が汚れていようと、俺はもう一度だけ手を伸ばす……)



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467 名も無きAAのようです[sage] 2015/08/17(月) 17:50:59 ID:zmb2k71.0


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          プロローグ 「Another Heaven」

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