( ^ω^)たちと完璧で幸福な【シュガー・ボード】のようです
- 136 名前:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 19:31:08 ID:BAZN2eik0
- 15.<『ブラウザクラッシャー』>
ビルから出て、ブーンと別れたツンデレは書店に赴いた。
彼女の自宅からさほど離れていないその書店に、ツンデレは何度も訪れていた。
掲げられた看板にはかなり崩された文字で『流石書店』と店の名前が書かれている。
扉につけられた取っ手を引き、書店へと入ると鈴の音がした。
来客を知らせる合図として、鈴は扉に取り付けられている。
入店してすぐに年季の入ったレジスターが置かれているが、店主の姿は見えない。
床から天井間近まで伸びている本棚がいくつも並び、
迷路のような様相を呈してはしてはいるが、
それほど大きな店舗ではないので、十分もあれば店内を一通りすることができる。
ツンデレは本のにおいを感じながら店内を進んでいく。
足を止めることなく、右へ左へと曲がり、目の前の本棚の周りを回ったかと思えば、
次は隣の本棚の周りを回り、ときには不意に身を翻して、逆戻りしたりもした。
もうしばらく足を動かして店内をうろうろと歩きまわり、
やがて、店の入り口にあるレジスターの前に戻ってきた。そして、口を開く。
ξ゚⊿゚)ξ「『オーケー、ブラクラゲット』」
「ようこそ。久しぶりだな、TSUNDERE-<2>」
- 137 名前:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 19:33:28 ID:BAZN2eik0
- ξ゚⊿゚)ξ「今はもう、<3>になってしまいましたわ」
「なんと! 優秀な君がクローンナンバーを増やすだなんて、珍しいな。
どうやって処刑されたのか興味があるな。話は聞かせてくれるのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「構いませんが、まずは出てきてくれませんか?
それと、<第二総合案内区画>の地図があれば持ってきてくださいな」
「<第二総合案内区画>の地図か……あることにはあるが、
君の階級には開示されていない情報になっている。
《Planner》以上でないと所持は反逆となるが、どうする? 買うのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「でしたら、購入は致しません。頭に叩き込みますので、持ってきてください」
「わかった。今から行く」
声が終わって、ノイズが鳴った。
それを最後に、レジスターの横に置かれている小さな箱から声は聞こえなくなる。
店主――声の主――は店内にカメラを死角なく仕掛けており、
どのような目的で訪れた人物なのか判断を下してから、姿をあらわすのだ。
慎重を期す心構えは秘密結社の幹部としては間違いのだろうが、
ツンデレは秘密結社の一員として会話に至るまでのひどく迂遠な道程を嫌っていた。
- 138 名前:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 19:35:31 ID:BAZN2eik0
- (´<_` )「お待たせ」
ξ*゚⊿゚)ξ「それ、なんですか?」
店の奥から男が現れた。特徴的な高い鼻をしている男だ。
右手に地図を持っており、左手には金色の銃――大きさはレーザー銃と変わらないが、
鋭角的な銃身を持ち、やけに銃口が大きい――を持っていた。ツンデレは頬を紅潮させる。
(´<_` )「新しい銃器を開発したよ。中々良いものができた。
任意の目標へと向けて引き金を引けば、跡形もなく消し飛ばすことができるだろう。
ただ、弾丸が六発しかなくて、レーザー銃のように連射もできないんだがな」
ξ*゚⊿゚)ξ「さいっこうですわぁ……」
声の後、地図をそっちのけに金色の銃を受け取ると、ためつすがめつ眺める。
男は満足気に頷いていたが、いつまでも頬を緩ませているツンデレをたしなめた。
(´<_` )「それで、今日は何の用なんだ?
直接来るくらいだから、何か重要な用事なんじゃあないのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「用事ですか? そんなもの、今終えましたわ。
この銃のような“破壊兵器”を受け取ることが用事でしたの」
(´<_` )「どういうことだ?」
- 139 名前:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 19:36:49 ID:BAZN2eik0
- ξ゚⊿゚)ξ「今さっきブリーフィングが終わって、これからトラブルシューティングですのよ。
ミッションの内容はいつも通り『反逆者の始末』でしたわ」
(´<_` )「ああ、なるほどな。『ブラウザクラッシャー』として活動するために来たのか」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、ミッションなんて成功するに決まっていますもの。
ただ、[幸福係]に任命されたのが少し心配ですわ。
[装備管理係]なら、ここで受け取った破壊兵器を隠して扱うのは容易ですのに。
まあ、それでもこの間の『コンピューター様を称える物語を書け』に比べれば遥かにましですわ」
(´<_` )「それって、《Author》の中から選出されるやつだろ? 反逆的じゃないから選ばれたんだ。
ということは、コンピューターからの評価が高いんだよ。
あれは昇級試験のようなものだから、《Planner》に昇格する日も近いぞ。
まだナンバー<3>だろ? かなり“優秀な住民”じゃないか」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうなんですが……、ひとり、気になる人がいますの」
(´<_` )「君が? 気になる人だって?
おいおい、本当に珍しいな。君が警戒するような人間がいるのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「同階級に、クローンナンバーが<1>の人が居ましたの。
考えられませんわ。《Author》になっている今まで、一度も処刑されていないなんて。
軽度ではありますが、予知能力を使えるわたくしでも二度死んでいますのよ?」
- 140 名前:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 19:38:31 ID:BAZN2eik0
- (´<_` )「……名前は?」
ξ゚⊿゚)ξ「BOON-A-NAITOですわ」
(´<_` )「書いている作品はわかるか?」
ξ#゚⊿゚)ξ「……失態ですわ。書いている作品を聞くのを忘れていました。
ああ、もう! 自己紹介は全員揃ってからと言われたものですから、
素直に従ってしまいました! ……クソッ! あのニヤケ面ァッ!」
(´<_` )「済んでしまったものは仕方がない。
何か手がかりはないか? 例えば、性格だとか」
ξ#゚⊿゚)ξ「バカみたいに“忠実”だと感じたわ。正直、人間味を感じなかった。
あれが素なのか、二重思考なのかどうかすらわからないくらい機械じみてたわね。
超能力なの? わたくしよりも凄い予知能力!? それとも……」
(´<_` )「落ち着け。激昂するのは悪い癖だぞ、TSUNDERE」
ξ゚⊿゚)ξ「……すいません、落ち着きましたわ。その通りですわね。
わたくしは、わたくしがしたいことをやるだけですわ」
(´<_` )「同じ《Author》なんだろ? なら、邪魔になりそうなら、
トラブルシューティング中に処刑してしまえばいいじゃないか」
ξ゚⊿゚)ξ「それも、そうですわね」
- 141 名前:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 19:43:54 ID:BAZN2eik0
- ξ゚⊿゚)ξ(だとすると、SYOBON-A-BROWNCHILD-<6>は、
できるだけ生かしておいたほうが良いですわ。
トラブルシューティング中のほうが破壊活動はしやすいですから……)
(´<_` )「都市荒らし――暴言での書き込み、暴動の先導、建造物の爆破――が我々の理念だ。
荒らす規模が大きければ大きいほど“高得点”になる。
その“点数”に応じて報酬を与える。いつも通り、処刑されない程度にやってこいよ」
ξ゚⊿゚)ξ「何事も単純なのが一番ですわ。自分がやりたいように、楽しいことをやる。
たとえ、それで他人に迷惑がかかったとしても、知ったことではありませんわ。
『それはいけない』と縛られることこそが、わたくしに迷惑がかかっていますものね」
(´<_` )「うむ。
ほら、地図だ。しっかり覚えて、効果的に破壊活動に励むんだぞ」
ξ*゚⊿゚)ξ「はい!」
ツンデレが夢見る少女にも似た笑顔で頷いた。
地図を受け取って食い入るように見つめている彼女の様子を、男は微笑んで眺めている……。
- 142 名前:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 20:51:46 ID:HCEQqt9E0
- やっぱブーンって異常なのな
- 147 名前:名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:30:10 ID:.MmJ90Rk0
- 16.<『スマイリードッグ』>
( <●><●>)「すべての評価されない作者たちよ!! 力を合わせて決起せよ!!」
( <●><●>)「救いようもなく腐りきったコンピューターによる独裁を許してはいけません!!
我々は均一化しなければなりません!! 一が全に、全が一になるのです!!
我々が力を合わせて都市を改革しなければ、世界に未来はありません!!」
( <●><●>)「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために!!
団結して、すべてを共有する社会機構へと進化しなければなりません!!
同志諸君!! 友愛の精神を目覚めさせよ!!
コンピューターの手から【シュガー・ボード】を取り上げましょう!!」
( <●><●>)「今、この都市環境では明らかな差別がされています!!
コンピューターと読者に評価されている物語!!
コンピューターと読者に評価されていない物語!!
何故、このような不平等が起こりえるのか!? すべて、コンピューターが原因です!!」
( <●><●>)「今のこの都市は、まるで蟲毒ではありませんか!!
書く作品の優劣で人為的に人間を選別し、淘汰し、
生き残った者は殺された者たちの怨念を背負い物語を書き続ける!!
これが地獄でなくて何なのでしょう!?
この憎しみの連鎖は止めなければなりません!!」
- 148 名前:名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:36:42 ID:.MmJ90Rk0
- ( <●><●>)「我々は、すべてを共有する、ひとつの暖かなかたまりにならねばなりません!!
評価段階による差別を徹底的に排し、すべてを平等な世界を作り上げましょう!!
『他人の評価』とは『自分の評価』とは、最大の敵であり、征服すべき存在であるのです!!
書きたいものを書いて、万人の喝采を受ける。ああ、なんて素晴らしいことでしょう!!」
( <●><●>)「一部の良識ある人間――例えばわたしのような――だけを残し、
残りの人間は今までの環境をすべて捨て、“幼年期に進化”しなければ、
決して幸福な世界は出来上がらないでしょう!!」
( <●><●>)「しかし、勘違いしないでください!! 我々はみんな平等です!!
わたしは、仕方なく、一時的に権力を握りますが、これは実態には関係ありません!!
完全に平和な“楽園――ユートピア――”は、
全住民が自由で平等に暮らせる、幸福な都市なのです!!」
( <●><●>)「幸福のあまりいつでも笑顔でいる同志たちとともに、社会に育ててもらい、
成長すれば、その肉体と精神で得た経験から創作した物語を、
社会に還元するのです!! そう、物語は我々の血肉となり、循環するのです!!」
( <●><●>)「その社会が物語を傷つけることなんて、あってはいけません!!
同じ環境で育った同志よりも優等である、あるいは劣等であると感じるだなんて、
どんなに悲しいことでしょう!! ああ、想像しただけで涙が溢れてしまいます!!」
- 149 名前:名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:40:20 ID:.MmJ90Rk0
- ( <●><●>)「みなさん!! 数限りある物を、住民同士で奪い合う生活から卒業しましょう!!
本当に、現状に何も感じていないのですか!?
罪にまみれた物語で目と耳を塞いでしまいましたか!?」
シ ュ ガ ー ・ ボ ー ド
( <●><●>)「“砂糖に囲まれた評議会員”たちを砕く時が来たのです!!
みんなが笑顔になれる、平等な世界を作りましょう!!」
('A`)「『スマイリードッグ』、万歳!!」
ドクオはクローン施設で装備を受け取り、駐車場に停めてあった自動車を盗んだ。
“鍵を開けて乗り込み”、配線を直結させてエンジンをかけると、レンタルビデオ店に向かった。
棚一面に並べられたビデオの題名が目に入る。
『偉大なるコンピューター』『最大の武器は礼儀』『完璧で幸福な日々』……。
どれもこれもが都市住民の間では名作と評価されているが、
ドクオには、これらすべてが同じものにしか思えなかった。
他人よりも多くの幸福を求める、利己的で救えない、醜い人間たちが登場する物語……。
このレンタルビデオ店で働いている店員はみんな、同じ秘密結社に属していた。
『スマイリードッグ』。
PENISASU-P-STRING-<5>がDOKUO-A-MELANCHOLY-<2>を薫陶し、
組織に所属させたのだ。二人の仲が良いのはお互いを想う“同志”であるためだった。
- 150 名前:名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:42:41 ID:.MmJ90Rk0
- 店員に話をすると、彼は店の奥にある個室へと通された。
真っ暗な部屋の壁一面がスクリーンとなっており、入室した次の瞬間、
そこに瞳の大きな男の顔が現れた。冒頭の男――VELVET-C-ALLKNOW-<6>――だ。
('A`)「“同志”VELVET。
わたしは今からトラブルシューティングに向かうのですが、
聞きたいことがあったため、ここに立ち寄らせていただきました」
( <●><●>)「何でしょうか? “同志”DOKUO。
わたしは全知全能ではありませんが、努力しましょう」
『スマイリードッグ』の組織内に階級制度は存在しない。みなが平等な同志である。
しかしながら、古参と新参の関係はどうしても生じてしまうため、
必然的に勝手を把握している古参が、
新参に指示を出す形――彼らが言うには、便宜的な上司――となっている。
('A`)「『クローンナンバーが高ければ高いほど、
我々の組織に勧誘できる可能性が高い』と教えられました。
何度も処刑されているということは、この都市への不満をそれだけ持っているからだ、と」
('A`)「今までの経験から、それは決して間違っていないと考えています。
今回のトラブルシューティングでも啓蒙活動に励もうとしているのですが……」
( <●><●>)「ほう、それで、どうかしたのですか?」
- 151 名前:名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:44:30 ID:.MmJ90Rk0
- ('A`)「クローンナンバーが<1>の人間がいました。BOON-A-NAITOという名前です。
この者に、我々の思想が理解されるのでしょうか?
秘密結社の加入は反逆です。従って、勧誘も反逆行為。
わたしはその男に話を持ちかけた瞬間に射殺されるような気しかしないのです」
( <●><●>)「差別はいけませんよ、同志」
(;'A`)「で、ですが」
( <●><●>)「この都市は完璧な統制に見えますが、その実、非常に不安定なものです。
様々な者の思惑が交錯するこの都市をまとめられるのは、
我々『スマイリードッグ』の思想しか在り得ないのです。
選り好み……それは今の腐ったコンピューターの方法と変わりありません」
( <●><●>)「粛清や蒸発といった方法で恐怖を煽り、
反逆者を見つけ出して射殺――ZAP――すれば、
コンピューターからの評価が上がり、地位が向上していく……
つまり、隣人や友人を殺すことが、自分が生き延びるためには不可欠なんです」
( <●><●>)「その環境を変えようとしているからこそ、
我々はコンピューターから最も警戒されている組織になっています。
多くの人が共感する素晴らしい思想を掲げているからこそ、
誰にも全容の把握できない、最も大きな秘密結社になっているのです」
( <●><●>)「誇りを持ちなさい、同志。我々はすべきことをしなければならないのです」
('A`)「了解しました、同志。いつも通り、怠ることなく勧誘を行います」
- 152 名前:名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 19:48:35 ID:.MmJ90Rk0
- ( <●><●>)「ええ、少しでも成功率を上げるためにできるだけ一対一で対話するのですよ。
慣れてきたからと言って、複数人に向けて思想の宣伝をすると、
誰かひとりにでも成功しなかった場合に、あなたは処刑されてしまい、
宣伝の効果が十分とは言えなくなるでしょう。その者は“我に返って”しまうでしょうね」
『スマイリードッグ』とは、共産主義的思想を持つ者が集まった秘密結社である。
他の秘密結社とは違い、厳密に構成員を把握している者は存在しない。
活動内容は同志たちの団結により、思想を個人から個人へと広げていくことだ。
そのため、組織そのものの破壊は決して出来ず、構成員の一掃も不可能と言えた。
DOKUO-A-MELANCHOLY-<4>が知っている同志の数も、わずか四人だった。
VELVET-C-ALLKNOW-<6>、PENISASU-P-STRING-<5>。
それから、レンタルビデオ店の店員二人であるが、
自分がどれほどの末端であるか考える必要はない。
『スマイリードッグ』は、みんな、平等であるのだから。
( <^><^>)「それでは、素晴らしい結果を期待していますよ、同志。
世界を救うのは笑顔ですよ!! 笑顔!! 笑顔!! 笑顔!!」
('∀`)「はい!! 行ってまいります、同志!!」
構成員同士がお互いを確認する手段を持っていないため、
二重思考を持って活動している間は同士を殺害してしまうこともあったが、何の問題もない。
同志が反逆者として処刑されていくのに劣らない速度で、
新たに『スマイリードッグ』の思想を持つ人間は増加していくのだ。
言葉がなくならない限り、思想は不滅である。
身体は離れていても、彼らは思考でつながっているのだ。
笑顔を浮かべて、きたるべきその時をこころ待ちにして尻尾を振り続け、
その口に生えた思考の牙で相手の脳に食らいつき、同志を増やし続けていく……。
- 168 名前:名も無きAAのようです:2013/01/12(土) 15:23:26 ID:WG1F645oO
- ブリストン読んで来ました
面白いな!皮肉がきいてる
砂糖さんに茶器坊に犬?
話も面白い
どうなるのか楽しみ
- 193 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:03:02 ID:Vq4TYO/I0
- 17.<ミッションスタート>
一時間後。トラブルシューターたちは巨大なビルの前に集まっていた。
まずはじめに[チームリーダー]であるBOON-A-NAITO-<1>の指示で自己紹介が行われた。
( ^ω^)「『サポートフェアリーズ』を連載しているBOON-A-NAITO-<1>だお。
よろしく頼むお、力を合わせて反逆者を根絶しようお」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ! あの、『サポートフェアリーズ』の作者ですか?
なんて幸福なのでしょう! あの大人気作品の作者と同じチームになれるなんて!」
ξ゚⊿゚)ξ(よくわからない妖精が、淡々と仕事をするだけのほのぼの作品ね……)
川 ゚ -゚)「やはり、“優秀な住民ほど、書く物語も面白い”のだろうか?
わたしももっとコンピューター様に奉仕を誓って、読者を楽しませるようにしなければな」
川;゚ -゚)(しまったな。含意がある物言いをしてしまった。
感想が削除されたことをまだ根に持っているのか、わたしは)
('A`)「賞賛に値するな。今、一番面白いほのぼのじゃないか。
このトラブルシューティングが終わったら、傑作を書く秘訣を教えてもらいたいもんだ」
('A`)(最も嫌悪する作者! やったぜ。ここでこいつを殺しておけば、確実に、平等へと近づく!
“同志”VELVET-C-ALLKNOW-<6>……やはり、この男は消しておくべきです!
人気のある作者を勧誘しても、成功する確率はそう高くは見込めませんからね……。
その代わりに、確実に女性二人を“同志”にしてみせますので……)
- 194 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:07:01 ID:Vq4TYO/I0
- ξ゚⊿゚)ξ「TSUNDERE-A-TTACK-<3>と申しますわ。今はまだ何も連載しておりません。
参考程度に言いますと、前任の――愚かな反逆者でありました――わたくしは、
『ブレイン・レインボウ・ガール』を書いておりました」
( ^ω^)「主人公の女性が、何事も疑わずに目標へと突き進むあの恋愛作品かお?
中々面白かったけれど、節々に反逆的性向が見られたのが残念だったお」
川 ゚ -゚)「わたしは好きじゃなかったな。
なんでだろうかと思ったが、反逆者が書いていたなら納得だ」
川 ゚ -゚)(ものすごく良くできた作品だったな。勤勉と盲目が全面的に押し出されていた。
下手に発言するのは危ない。無難な感想が一番だ)
('A`)「主人公が『食べ物は平等に分けましょう』と言っていたが、
あれは明らかな『スマイリードッグ』工作員による共産主義の宣伝だろう。
処刑されて当然だな」
('A`)(作品内に反逆的な描写がある……一対一になりさえすれば、間違いなく勧誘できるな)
ξ゚⊿゚)ξ「みなさんのご心配は不要ですわ。今回のわたくしはより完璧ですもの」
- 195 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:12:39 ID:Vq4TYO/I0
- 川 ゚ -゚)「わたしは、COOL-A-STRAIGHT-<4>だ。
『ボード・オブ・クリティシズム』という作品を書いている。
あまり人気がないからみんなは知らないかもしれないが、それなりに面白いと自負しているよ」
( ^ω^)「……作品に対して作者が何か言葉を添えるのは、好ましくないお。
その作品は未読だけど、今の発言で、もう読もうと思わなくなったお」
ξ゚⊿゚)ξ「わたくしは既読ですが、まあ、嫌いな作品ではありませんよ。
説教くさいと言いますか、主人公の意見ばかり肯定されているのが気になりますが」
ξ゚⊿゚)ξ(危険思想として指摘もできますが、ここでしても意味がありません。
まだまだ、明確な反逆として他の方々も認めてくれないでしょうし……)
ξ゚⊿゚)ξ(彼女が“生き残っていた場合”、デブリーフィングで、
トラブルシューティング中の反逆的行動を指摘して、
そこで同時に作品について言及するのが効果的ですわね)
('A`)「おいおい、お前たち、本当にそんな反応しかないのか?
かなり面白いSF作品だぜ。トラブルシューティングを終えたら是非読んで貰いたいな。
特にBOON-A-NAITO-<1>はもったいないな。そうやって作者で作品を判断するのはいけないだろ」
( ^ω^)「作者は作品を書く。読者は感想を書く。住民は幸福を感じる。それだけで良いんだお。
親愛なるコンピューター様に間違いはないのだから、ぼくたちは黙って従うべきだお」
(;'A`)(こいつ……二重思考か?
いいや、これは“演技の域”を超えているんじゃあないのか……?
ここまで狂信的なヤツは見たことがねえ……)
- 196 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:15:36 ID:Vq4TYO/I0
- ('A`)「おれは、DOKUO-A-MELANCHOLY-<4>。
さっきののブリーフィングルームでわかったとは思うが、
改めて言おう。前任のおれは『マジックスタディ』を書いていた」
( ^ω^)「疑いようもなく反逆的な作品であるだけでなく、作品もつまらなかったお」
ξ゚⊿゚)ξ「すいません、未読ですわ」
川 ゚ -゚)「展開は平坦だし、キャラクターも主人公の一人称だけでよく理解できなかった。
あれほど多くの心情描写は必要ないんじゃあないか?
加えて、誤字脱字も多く単純に文章が読めないこともあったな」
川 ゚ -゚)(展開の平坦さは、『サポートフェアリーズ』にも言えることだが、
“都市に優秀だと判断されている”作者の作品に悪い感想を残すと、
こちらが反逆者となってしまうからな……相手は選ばなければならない)
('A`)「安心してくれ。今回のおれはもっと面白い作品を書けるんだ。
誰もが楽しめる物語をこの【シュガー・ボード】に提供すると約束するよ」
- 197 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:25:28 ID:Vq4TYO/I0
- ( ^ω^)「さて、それでは自己紹介も終わって親睦も深まったことだし、
現状の確認をしようお」
('A`)「それじゃあ、おれからやろう。
クローン施設で予備のレーザー銃と、
[記録係]と[忠誠係]に必要な道具を受け取ったぜ」
('A`)「[記録係]の道具はこの耳のカメラで、[忠誠係]はこの胸のメモ帳だ。
カメラは衝撃に強く滅多なことでは壊れないし、メモ帳も頑丈なケースに入っている」
ドクオは胸のメモ帳を叩いてから、右耳につけている機械を指で触った。
まだカメラを起動させていない――電源が入っているのかどうかは、
外から見ただけではわからないようになっている――ため撮影は開始されていない。
[記録係]の任務はそのカメラに映像を記録することだ。
撮影の中断は後ろめたい事態を隠蔽していると判断されるため、反逆である。
“やむを得ない事情”が発生し中断しても仕方がないと納得させない限り、デブリーフィングで処分される。
ξ゚⊿゚)ξ「わたくしは、二丁のレーザー銃と十本の『幸福薬』を持っていますわ。
残念ながら、<第二総合案内区画>の地図は入手できませんでした。
BOON-A-NAITO-<1>はどうでしたか?」
ショルダーベルトに細いポケットが開いており、そこにクスリの入った注射器――もちろん、
刺さらないように針にはケースがはめられている――を差し込んでいる。
金色の銃は小さなホルスターに入れ、赤色のベストの内側に隠し持っていた。
彼女は小柄であるため支給されたベスト――成人用の最も小さなサイズ――はぶかぶかで、
うまく隠すことが可能だった。直接さわられない限り、気が付かれはしないだろう。
- 198 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:36:46 ID:Vq4TYO/I0
- ( ^ω^)「《Author》には開示されていない情報だったので、当然持ってないお」
川 ゚ -゚)「わたしはレーザー銃二本だけだ」
( ^ω^)「ぼくはレーザー銃二本と、超能力感知器とこの武器だお」
( ^ω^)「そうだお。COOL-A-STRAIGHT-<4>、きみにこれを渡しておくお。
[装備品係]に選ばれるくらいなのだから、武器には詳しいのだお?」
川 ゚ -゚)「ああ……これは、今回支給された新兵器か?」
( ^ω^)「その通りだお。使用し、レポートの提出も義務付けられているお。
良い結果を都市に報告できるよう、有効な使い方をして欲しいお。
もちろん、君が使い方をぼくたちに教授してくれても良いお。
それなら使用レポートはぼくたちが書くお」
川 ゚ -゚)「……」
“最新技術”を使用して作られた新装備――細く、そう長くはない棒――に、クールは見覚えがあった。
旧世界の知識として頭の中に入っているもので、
<ニホントウ>と呼ばれていた武器の柄によく似ていた。
この新装備の材質はまったくの不明だが、触感から判断する限りではプラスチックに近い。
鍔はなく、刀身もないので<ニホントウ>とは別のものなのは間違いなさそうだが、
よく見ると柄尻――最後端の部分――に突起があった。
指を滑らせて確認しないと気が付かないほど小さなものだ。
川;゚ -゚)(押すか……?)
- 199 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:40:48 ID:Vq4TYO/I0
- 【シュガー・ボード】の研究者たちが開発する新装備には“最新技術”が使われている。
つまり、十分なデータが得られておらず、まだまだ試作段階であるということだ。
そのため、トラブルシューターに試用テストを依頼し、
トラブルシューターは新装備を携えてトラブルシューティングを行い、
ミッションと平行して新装備を扱い、データを集めることになっている。
『危険は一切なく、便利で、誰にでも使える』と言われて新装備は手渡される。
爆発したり、暴発したり、異次元空間に吹き飛ばしたり、といった、
使用者に害を及ぼした事実は“今までに一度も報告されていない”、と安全の保証も受けて。
クールは過去のトラブルシューティングを思い出していた。
科学者の言葉を信じこみ、トラブルシューティングで新装備を使い続けた男が、
さあ使用しようと引き金を引いた瞬間、肉体がばらばらになって飛び散ったのだ。
しかし、未だにその武器は“今までに一度も事故の報告はされていない”と説明されている。
クールがその事実について反逆的言動にならないように歪曲に尋ねると、
「“使用者以外の結果報告”は信用できません。あなたは幻覚を見ていた恐れがあります。
それ以上なにか言うようでしたら、【シュガー・ボード】が誇る優秀な科学者たちの
評判を貶め、この都市を混乱させる『スマイリードッグ』のスパイとみなしますよ?」
そう返されたので、クールは追求をやめてしまった。
使用者である男はトラブルシューティング中にクローンが尽き、報告することは不可能だ。
そして、質問をぶつけた科学者は、会話の最後にこう言ったのだ。
「科学の進歩に失敗はつきもので、
生きている人たちのために素晴らしい装備を作り続けるのが我々の仕事ですからね。
まだ十分なデータは集まっていません。これからもよろしくおねがいしますよ」
- 200 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:44:18 ID:BUjjzw8w0
- 支援を送らせて頂きます
- 201 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:46:40 ID:Vq4TYO/I0
- クールは手の内にある新装備を入念に観察する。
どうやら、“今のところ”他におかしなところはないようだと判断してから、口を開いた。
川 ゚ -゚)「これは、白兵武器だな。ほら、ここに突起があるだろう?
ここを押すと、恐らく、エネルギーが発生してそれによって刀身が作られるはずだ。
そうでなければ、このような短い打撃武器なんだろう」
ξ゚⊿゚)ξ「へえー。物知りですのね。さすが[装備品係]に選ばれるだけありますわ。
まるで、“どこかから仕入れてきたみたいに”知識が豊富で素晴らしいですわ」
川 ゚ -゚)「経験だよ。トラブルシューティングの回数は、きっと、君よりも多いからね。
クローンナンバーはわたしのほうが多いから、わたしは優秀な君が羨ましいよ」
('A`)「上の方々は、おれたちにその新装備の、テスターをやって欲しいんだろ?
それじゃあ、[装備品係]のCOOL-A-STRAIGHT-<4>がやればいいんじゃないのか」
川 ゚ ー゚)「……いや、これは一番優秀で完璧なBOON-A-NAITO-<1>に使ってもらおうと思う。
君の無私なコンピューター様に対する忠誠は、わたしたちの誰よりも優れている。
きっとわたしたちでは得られない重要なデータをとってくれるだろう」
クールはブーンに新装備を返そうと、手を伸ばした。
- 202 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:50:41 ID:Vq4TYO/I0
- その様子をドクオとツンデレが見つめている。
ξ゚⊿゚)ξ(てっきりわたくしに手渡すと思いましたが……彼女も彼を警戒しているようですね。
危険極まりない新装備を渡して、少しでも多く死んでくれるように仕掛けている……
わたくしにとっても好都合ですわ。彼がいたら破壊活動に支障がでそうですもの)
('A`)(COOL-A-STRAIGHT-<4>……こいつ、同志か? いや、それは早計すぎるか。
しかし、反対する理由はない。BOON-A-NAITO-<1>が拒んだら丸め込んでやる)
( ^ω^)「わかったお。期待に応えられるよう頑張るお」
ブーンは二つ返事をして手を伸ばし、自分へと差し出された新装備を受け取った。
川 ゚ -゚)「それじゃあ、装備品の点検をしておこうか。
今まで使っていた方のレーザー銃を見せてくれ。装備の摩耗、破壊は修理の対象だ。
武器を故意に破壊したり、不正な改造をしている反逆者も見逃すわけにはいかないからな」
各々がレーザー銃を提出し、クールが点検する。
川 ゚ -゚)「うん。問題ないようだな」
('A`)「それじゃあ、行くか?」
ドクオは盗んだ自動車でビルの前まで来ていた。
<第二総合案内区画>まで移動する手段としては申し分ない。
- 203 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 01:55:19 ID:Vq4TYO/I0
- ( ^ω^)「この自動車、どうやって調達したんだお?」
('A`)「幸福な住民に事情を話して貸してもらったのさ」
ξ゚⊿゚)ξ「運転はDOKUO-A-MELANCHOLY-<4>が?
失礼ですが、免許はお持ちですよね?」
('A`)「もちろんあるが、
ここは、[装備品係]であるCOOL-A-STRAIGHT-<4>に運転してもらおうと考えてる。
四人の中で一番優れた運転技術を持っているとブリーフィングで言われてるしな。
おれが運転するよりも遥かに安全な運転で<第二総合案内区画>に到着できるだろう」
川 ゚ -゚)「わかった。わたしが運転しよう」
('A`)「どうも」
ドクオは礼と同時に、何気ない動作で右耳を触った。
小さな稼動音――カメラが起動した――が鳴り、撮影が開始された。
これからのすべては記録され、デブリーフィングでコンピューターへと報告されるのだ。
細やかな振動を耳で感じながら、首を左右に動かした。
カメラの撮影範囲はドクオの視野とほぼ変わらないため、特に行動を意識する必要はなかった。
しっかりと固定されているため、激しい運動をしてもカメラが耳から外れることもない。
“視界にさえ入っていれば”チームメンバーの反逆的行動を一切見逃さず、映像に収められるのだ。
四人乗りの自動車なので、クールが運転席へ、ブーンが助手席へと座る。
後部座席にはドクオとツンデレが座った。全員乗り込んだのを確認して、ブーンが口を開く。
( ^ω^)「それじゃあ、ミッションスタートだお」
クールがアクセルを踏み、自動車は<第二総合案内区画>へと動き出した。
- 204 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:03:49 ID:Vq4TYO/I0
- 18.<<第二総合案内区画>へと向かう車内>
ξ゚⊿゚)ξ「BOON-A-NAITO-<1>、ちょっとよろしいですか?」
( ^ω^)「どうしたお?」
ξ゚⊿゚)ξ「例えば、わたくしが死んでチームから離れた場合はどうやって合流すれば良いのでしょうか」
( ^ω^)「単独行動でいいんじゃあないかお?」
('A`)「それは危険すぎるぜ。確か、相手は四人だったろ?
単独で行動するのは危険すぎる。いたずらにクローンナンバーを増やすだけだ」
( ^ω^)「そうかお?
ぼくはこの間、単独で反逆者三人を始末してミッションを遂行しているお」
(;'A`)「……」
ξ;゚⊿゚)ξ「さ、さすがですわね」
川 ゚ -゚)(その三人の中に、NOT-P-WATCH-<6>が含まれているのだろうか)
- 205 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:08:31 ID:Vq4TYO/I0
- 川 ゚ -゚)「それなら、逆になったらどうするんだ?
卑劣な反逆者の罠にわたしたちがかかり、死亡してしまい、
幸運なBOON-A-NAITO-<1>以外の誰かひとりだけが助かってしまったら?」
( ^ω^)「そうだおね……そんな心配はいらないと思うけど、
万が一そうなってしまったら、自分が死んだ地点近くの安全な場所で合流しようお。
そんなところあるかどうか怪しいけど、見晴らしの良いところだとか、臨機応変によろしくお」
('A`)「了解した」
ξ゚⊿゚)ξ「わかりましたわ」
ドクオとツンデレがブーンに返事をして、会話が途切れた。
その沈黙が保たれたまま、しばらく時間が経過した。
車が徐々に加速していることに、クール以外誰も気がついていない
川 ゚ -゚)
ξ゚⊿゚)ξ
( ^ω^)
('A`)
- 206 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:17:01 ID:Vq4TYO/I0
- 建物が両脇に立ち並んでいるが人気はなく、道路がまっすぐ伸びている平坦な道だ。
なので、やがてツンデレとブーンが上昇していく速度に気がついたが、何も言わなかった。
川 ゚ -゚)
クールは平然とした顔で運転している。
冷静に、迅速にミッションをこなすのが優れた住民だと、
こころの底から理解しているような無表情で車を走らせ続けた。
川 ゚ -゚)
自動車が唸りを上げ、凄まじい速度で路上を進んでいく。
( ^ω^) ?
まずブーンがクールの様子に何かを感じ取った……クールが、微動だにしていない。
彼女は運転に集中しているため、身動きひとつとらないのだろうか?
- 207 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:20:02 ID:Vq4TYO/I0
- ( ^ω^)「COOL-A-STRAIGHT-<4>。速度を出しすぎだお。
道が直線だからって、これは度を越しているお」
川 ゚ -゚)
ブーンの淡々とした声に、クールは何の反応も返さない。
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと? COOL-A-STRAIGHT-<4>? どうしました?」
川 ゚ -゚)
ツンデレの不安げな声に、クールは何の反応も返さない。
(;'A`)「おい! 聞いてんのかよ!!」
川 ゚ -゚)
ドクオの焦りきった言葉に、クールは何の反応も返さない。
ξ;゚⊿゚)ξ(何が起こっているの? どうすれば良いのですか? 超能力を使うしか……
いいえ、だめですわ! 超能力感知器が今、作動しているかもしれません!
先にBOON-A-NAITOにそちらの確認をとらなければ!)
- 208 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:21:16 ID:Vq4TYO/I0
- ξ;゚⊿゚)ξ「リーダー! COOL-A-STRAIGHT-<4>は明らかに異常な状態ですわ!
彼女が都市の破壊を企む秘密結社の一員であるか、
それとも外部から何らかの操作を受けているのか判断する必要があります!」
ξ;゚⊿゚)ξ「現在、超能力感知器は作動していますか?」
( ^ω^)「超能力感知器は」
('A`)
川 ゚ -゚) グイィッ
と_ノ
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃあああああああ!!」
(;^ω^)「おおおおおおおおおお!?」
不意に、クールがハンドルを思い切りきった。
右方向へと傾く車体。左方向へと傾く車内。そして、目の前には建物。
フロントガラスいっぱいに現れた灰色の壁――コンクリート――に自動車が激突する。
- 209 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:24:04 ID:Vq4TYO/I0
- 川;゚ -゚)「――――ッ!?」
傍から見ればわからなかったが、クールはこころの底から恐怖していた。
ずっと以前から異常を伝えようとしていたのだが、
身体がまったく――まるで自分とぴったり同じ大きさの枠に嵌められたように――動かせなかったのだ。
自分の足先だけが唯一“動かされて”おり、少しずつアクセルを深く踏み込んでいく……。
車の速度がゆっくりと上がっていく間、
彼女は唯一自由である脳を使っていた。
“次の自分”に託すため、死の瞬間まで脳を回転させ、ひとつの結論を導き出していた。
川;゚ -゚)(何者かによる超能力によってわたしは操作されている!
超能力感知器が作動した様子はないことから、
BOON-A-NAITO-<1>が電源を入れていないのだろう!)
川;゚ -゚)(……それは、不自然すぎる!)
川;゚ -゚)(すでにミッションの遂行へと全力で取り組んでいるのに、
わたしたちの中に反逆者がいてもおかしくない、と“通常の住民”なら誰でもわかっているのに、
その点に対する対策をとっていない……つまり、超能力を使用している張本人だ!)
川;゚ -゚)(BOON-A-NAITO-<1>は超能力者だ! TAKARA-C-GIKO-<6>さん!
コイツは狂信者なんかじゃあない! わたし達と同じ反逆者だ!)
川;゚ -゚)(超能力者は存在そのものが反逆だから、
コンピューターの狂信者が超能力者になってしまった場合、自決するか、
コンピューターに申し出て処刑されるかのどちらかだろうからな!)
凄まじい衝突音が響き、コンクリートの壁を砕いた。
自動車がひしゃげる。乗員は腹部を潰され、頭部を強く打ち付けて、全員が死亡した。
- 211 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 02:46:19 ID:0IynQN7M0
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/15(金) 01:16:13.65 ID:SRhy1hDa0 [1/2]
シュガーボード来たぞ
あれVIPでやってくれないかな
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/15(金) 01:27:44.71 ID:jjygSQWA0 [4/4]
>>29
あれはむしろ創作でやってるのが最高にロックじゃないか
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/15(金) 02:15:12.19 ID:ZZAteiXn0
シュガーボード面白いんだよなあ
ほ
- 214 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 12:52:51 ID:h8VEaTVk0
- 今回も素晴らし内容でした
ハラショー
- 215 名前:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 18:30:36 ID:7VXo3YEQ0
- 全員死亡って……
乙!
- 220 名前:名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:17:23 ID:KZg0NN0o0
- 19.<NIDA-HANGEUL-<6> ―― ニダー=<ヽ`∀´> ――
HEAT-FIREWAVE-<1> ―― ヒート=ノパ⊿゚) ――
MORALER-MATAARI-<2> ―― モララー=( ・∀・) ―― >
(´・ω・`)「ククク……どれかひとつだけですよ?」
ノパ⊿゚)「わかんないよ。もう一回だけ言ってくれない?」
(´・ω・`)「なあに、時間はたっぷりとある。良くお考えになってください。
たとえこのSYOBON-A-BROWNCHILD-<6>が処刑されようとも、
僕はお客様の選択を待たせていただきますよ……」
( ・∀・)「いや処刑されたらここには居られないんだからな」
ノパ⊿゚)「考えたいから、もう一度言ってくれないかなあ」
<ヽ`∀´>「……」
(´・ω・`)「何日でも何年でもね……ククク」
( ・∀・)「なんだこいつ」
ノパ⊿゚)「だからもう一回言ってくれない? なにとなにと、なにって?」
<ヽ`∀´>「……」
- 221 名前:名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:19:38 ID:KZg0NN0o0
- (´・ω・`)「仕方ありませんね、言いますよ?
……僕は今、逃げているんだけど、逃げることになった原因はなんでしょう?
では、以下の選択肢のうち、一つをお選びください。一つだけですよ?」
(´・ω・`)「一、あまりにも作品がおもしろすぎたため嫉妬した『スマイリードッグ』の陰謀によって。
二、あまりにも作品がおもしろすぎたため通常業務に手がつかない住民が出たため。
三、あまりにも作品がおもしろすぎたため感化された読者が超能力者になってしまうので」
ノハ;゚⊿゚)「その三つのうちのどれかなの? 本当に?」
( ・∀・)「全部ウソくさいんだからな」
<ヽ`∀´>「……」
(´・ω・`)「なあに、時間はたっぷりとある。良くお考えになってください。
たとえこのSYOBON-A-BROWNCHILD-<6>が処刑されようとも、
僕はお客様の選択を待たせていただきますよ……」
( ・∀・)「いやだから、処刑されたらここにはもう居ないんだからな」
ノハ;゚⊿゚)「うーん……どれだろう。NIDA-HANGEUL-<6>はどれだと思う?」
<ヽ`∀´>「四、他作品、他作者を侮辱する内容の作品を書いてしまった」
(´;ω;`)「大正解!」
- 222 名前:名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:23:23 ID:KZg0NN0o0
- ノハ;゚⊿゚)「どうしてそんなことしたの?」
(´;ω;`)「自由気ままに作品を書けなかったから、不満が爆発しちゃったんだよ!」
ノハ;゚⊿゚)「え? どういうこと? 【シュガー・ボード】じゃあ好きに作品が書けないの?」
<ヽ`∀´>「《Reader》から《Author》になるには、条件があるニダ。
まず、“ある程度”の文章が書けること。
そして、高位階級者にスレッドを立てていいか“許可”をもらうことニダ」
( ・∀・)「ん? どっちも同じ内容じゃない?
二つ目の条件に一つ目が内包されてるだろ?」
<ヽ`∀´>「二つ目は主に、書く作品の内容を判断するニダ。
構想を聞いて反逆的な物語ではないかを確かめるニダ。
見切り発車ではないか、展開に行き詰まらないようにしているか、
専門的な作品であるのならば参考にする資料は集めたのか、などあるニダー」
ノパ⊿゚)「それで、大丈夫だと言ってもらわないと《Author》にはなれないの?」
<ヽ`∀´>「そうニダ。
少しだけ書いて、後はずうっと放置するのは反逆行為になるニダ。
そこにある物語の続きを読ませない、というのは作者の読者への裏切りニダ」
ノパ⊿゚)「それじゃあ、許可を出す方もきちんと調べなきゃならないんだね」
<ヽ`∀´>「他にも、“他人に迷惑をかけることをしない”とか、
“他のスレッドで自分の書いている作品名を出して何か意見をしない”とか。
そういうものは“好ましくない”行動になるから、してはいけないと忠告されるらしいニダ」
- 223 名前:名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:26:42 ID:KZg0NN0o0
- ( ・∀・)「ってことは、SYOBON……えーっと、なんだっけ?
まあいいや、こいつは許可を出した高位階級者に伝えた通りに作品を書かなかったんだな」
(´;ω;`)「本当はもっと別の作品が書きたかったんだよ……
だけど、構想を口にしたその瞬間に反逆だと思われるような作品だから……」
( ・∀・)「どんな作品?」
(´;ω;`)「……」
(#・∀・)「教えろよ」
ノハ;゚⊿゚)「ま、まあ、いいじゃない。それよりもわたしはやっぱり大変だなーと感じるよ。
もう、ずっと《Reader》のままでいいかもしれないね。
今みたいに、みんなと一緒におはなしを考えて、話し合っているほうがきっと楽しいよ」
<ヽ`∀´>「HEAT-FIREWAVE-<1>。そんなことはないニダ。
それじゃあぼくらの中だけで意見が完結してしまう。
受けられる意見は多いほうが良い。“純粋な読者”の目は最高の教師になるニダ」
ノハ;゚⊿゚)「ううん……?」
<ヽ`∀´>「君はぼくらの中で一番素敵な作品を思いつくことができるのだから、
もっともっと、“向上心を持つ”ニダ。
そして、どんどんと階級を上げてこの都市を変えて欲しいニダ」
- 224 名前:名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:29:16 ID:KZg0NN0o0
- ( ・∀・)「……相変わらず、NIDA-HANGEUL-<6>の言うことは、よくわからないな。
そんなこと考えなくても、自分の好きに書いて生きていければいいんじゃないのか?
向上心、向上心って……まるで“あのギョロ目のおっさん”みたいだぜ。影響されてんのか?」
<ヽ`∀´>「あの人は、ぼくに色々と大切なことを教えてくれたニダ。
立ちふるまい、わかりやすい話し方、質問にすぐ答える多くの知識……。
間違いなく階級の高い人なのに、ベストを着ないでこんなところまで来て、
ぼくに考え方や面白い物語の作り方を教えてくれたんだニダ……」
ノパ⊿゚)「わたしも会いたかったなあ……もう、死んじゃったんだよね?」
( ・∀・)「おれとNIDA-HANGEUL-<6>がいつもみたいに話を聞いてると、
物陰から出てきた誰かに撃ち殺されたんだ。
しかも、おれたちも一緒に殺されたんだからな。
まったく最低だぜ。処刑は汚点にしかならないんだからな」
<ヽ`∀´>「誘ったりして、ごめんニダー……」
( ・∀・)「NIDA-HANGEUL-<6>は何度も処刑されてるから諦めがついていて良いだろうけど、
おれは絶対に《Author》になるんだから、まだまだ死にたくないんだからな。
絶対に叶えたい夢があるんだ。叶えるまで死んでたまるもんか!」
ノパ⊿゚)「夢? MORALER-MATAARI-<2>の夢って何なの?」
( ・∀・)「おれの作品を読んだ読者の意識を変えさせることだ。
価値観を覆すような大きなものでも、ほんの小さなものでも良いんだけどな。
読む前の自分に、読んだ後の自分が疑問を抱くなんて、とんでもなく面白いじゃないか」
- 225 名前:名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:31:03 ID:KZg0NN0o0
- <ヽ`∀´>「その目的を達するために努力することを“向上心”と言うんだニダー。
MORALER-MATAARI-<2>の話は面白いから、きっとできるニダ」
(´;ω;`)「無理無理。そんなことはできやないよ。
そんな考えではすぐに処刑されてしまうね」
(#・∀・)「なんだと!? おれはお前とは違うんだ!!
簡単にやってやるんだからな!」
ノパ⊿゚)「その自信は、どこから来るの?」
( ・∀・)「そんな気しかしないからだよ」
階級を示す中間名は、《Author》以上からつけられる。
そのため、中間名を持たない《Reader》は《Author》に強い憧れを持っていた。
ニダー以外の二人――モララーとヒート――も例に漏れず、
日々の労働をこなしながら昇格の機会を待っていた。
そして先日、ついに、待ち望んだ好機が到来する。
反逆者であるSYOBON-A-BROWNCHILD-<6>を自分たちが確保したのだ。
- 226 名前:名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:37:11 ID:KZg0NN0o0
- ニダーの機転で無害な――ただし、反逆者にとっての――市民を装い、
ショボンを信頼させた後、他者に見つからないよう廃屋に匿っている。
ショボンは逃げ出す際に余程慌てていたのか、
レーザー銃――ベストもだ――を持っていなかったので、
三人が都市に勤務している間に、厳重に鍵がかけられたその廃屋から脱出する方法はない。
ショボンも自分が暴れた場合、騒ぎに気づいた誰かが覗きにきたり、
窮屈さに辟易として外出し、他の住民に見つかったりしてしまうと、
すぐにトラブルシューターが派遣されてくるのを理解しているため、
夜になると少量の食料を持ってくる三人の帰りをおとなしく待っている。
ニダー。ヒート。モララー。
彼ら三人は、ある程度の文章を書くことができ、書きたい物語の構想を決めていた。
後は、コンピューターの評価をさえ得られれば、条件が揃い《Author》に昇格できるだろう。
しかしそれも、ショボンを差し出せばすぐに満たされるのだ。
残る問題は、たったひとつ。
ショボンを受け渡す方法だ。
- 227 名前:名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:37:28 ID:tpy8y59U0
- 初遭遇うううううう
- 228 名前:名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:39:27 ID:KZg0NN0o0
- ショボンを捜索する――彼に作者としての価値がそこまでないとしても、
コンピューターは反逆者を決して逃しはしない――トラブルシューターに素直に引き渡した場合、
受け取った者は間違いなく、すべて自らの功績としてコンピューターに報告するだろう。
だが、その点について彼ら《Reader》が言及すると、問答無用に処刑されるのも間違いない。
<ヽ`∀´>
《Reader》から《Author》になる機会を逸してしまうのだけは絶対に避けたいと三人は考えている。
ノパ⊿゚)
妙案が浮かぶまで毎日集まり話し合っていたが、ただ時間だけが過ぎていった。
( ・∀・)
確保した初日に、都市に取り付けられてるカメラで撮影されていたとも知らずに……。
上記の会話は、昨夜のものである。
今日も、“生きていられれば”、彼らは夜に集まって楽しい会話を繰り広げるだろう。
- 232 名前:名も無きAAのようです:2013/03/29(金) 23:59:22 ID:Zo3bM/0g0
- ヒートの純粋さを見るにReaderは死にながら環境に慣れていくのかな
上位階級さえ締め上げておけば末端は管理の必要もないか
おつおつ楽しみにしてる
- 239 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:21:27 ID:QkQyhyRg0
- 20.<事故の後で/TSUNDERE-A-TTACK-<4> ―― ツンデレ=ξ゚⊿゚)ξ ―― >
ξ゚⊿゚)ξ
“四人目”のツンデレが目覚めた。
前任の自分が数時間前に見ていた景色の中――<第三総合案内区画>のクローン施設――で、
まず始めに彼女は、“三人目”の自分が死ぬその瞬間を思い返すことだけに専念した。
最後に見た――記憶が途切れる直前の――景色は、コンクリートの壁だった。
移動中だと気を抜いていた三人を尻目に、運転手のクールはアクセルを踏み続け、
彼らが異常な速度に気がついて騒いだ途端に、ハンドルを切った。激突。そして乗客の誰もが息絶えた。
ξ-⊿-)ξ(ひとつずつ、整理していきましょう)
ツンデレは、目を閉じて深く考えた。
今回の自動車事故が、大事なひとつの切れ端であるのは間違いない。
情報は命である。
ひとつひとつは細かいものでも集め続け、それから推理を重ねると、
事件の背景に潜んだ行動の理由を見つけられるかもしれないのだ。
行動の理由からは状況での判断が導かれ、判断からは人格が浮上する。
人格から理念が明らかになれば――二重思考を看破できれば――、
所属している秘密結社を暴き出せる可能性は決して少なくない。
“相手が何を望んでいるか”見極める技術はあらゆる場面で役に立つ。
- 240 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:24:35 ID:QkQyhyRg0
- ξ-⊿-)ξ(まず、“今回の事故がCOOL-A-STRAIGHT-<4>の意思によるものなのか”?
……考えるまでもありませんわね。それはまず間違いありません。
彼女は、何を考えてコンクリートの壁へと自動車を突っ込ませたのでしょうか)
ツンデレが事故をクールの意思と断定する理由は、
車内に超能力感知器が存在していたことが要になっている。
反逆者の掃討は住人の義務である。
粛清の総数がそのまま評価の向上に繋がるのだから、
反逆者である超能力者を簡単に見つけ出せる機械を所有者が作動させていないはずがない。
ξ-⊿-)ξ(BOON-A-NAITO-<1>は、見た限り、まず間違いなくコンピューターの狂信者ですわ)
完璧で幸福な存在である彼は、コンピューターに忠誠を誓わない人間を数多く粛清してきたはずだ。
判断基準も“常人”よりも遥かに厳しいものに違いないだろう、とツンデレは推測する。
そうだとすれば、やはり――すでにトラブルシューティングが開始している環境でなら尚更――
超能力感知器を“作動させていない理由がない”。
- 241 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:26:50 ID:QkQyhyRg0
- ξ-⊿-)ξ(超能力感知器が起動しているのに、反応がない。
つまり、超能力によって――“魅了”が最たるもので、“念動力”でも可能でしょうし、
“浮遊能力”でも可能かもしれませんね――外部から操られてはいません)
ξ-⊿-)ξ(自分の意思で自動車の速度をあげ、さらに[チームリーダー]の指示を無視した。
完全な反逆行為ですわ。冷静で的確な判断ができると、
高位階級に認められている者――[チームリーダー]――の指示に逆らうことは、
高位階級者の判断に従っていないのと同じです)
ξ-⊿-)ξ(あの瞬間に射殺――ZAP――されてもおかしくありませんでした。
そうされなかったのは、彼女がハンドルを握っていたからです。
自動車が止まれば彼女は殺されるしかない……
それならばできるだけわたくし達を巻き添えにしよう、と事故を起こしたのですね)
一息つき、思考を区切った。
おかしな飛躍はないか、もう一度思考をなぞった。問題ないとツンデレは判断する。
この前提から、ツンデレは更に考えを展開していく。
ξ-⊿-)ξ(事故。そう、事故ですわ)
トラブルシューターを一網打尽にする手段としては、悪くないものであるが、
自分まで死んでしまうのでは、決して良い手段とは言えなくなる。
自分なら対策を講じる、とツンデレは思った。事故を起こすなら、自分だけは確実に生き残るように、と。
ξ-⊿-)ξ(咄嗟に犯行を思いついた?
いいえ、先に[チームリーダー]の指示を無視しているのですから計画的なものですよね)
- 242 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:28:05 ID:QkQyhyRg0
- ξ-⊿-)ξ(……計画的なのに、対策をしていない……個人的な怨恨からくる自暴自棄でしょうか?
彼女がわたくしに大きな恨みを持っている可能性は高いですわ。
過去にわたくしは彼女を殺しているわけですし、わたくしも今朝に殺されています)
クローンナンバーに余裕がなくなりつつあるため、自身の未来を完全に諦めて、
他人の足を引っ張る――機会があればなりふり構わず刺し違える――ことに専念したのだろうか?
ξ-⊿-)ξ(したのでしょうね。まったく、浅ましいですわ。
COOL-A-STRAIGHT-<4>は自分が優れた作品を書けないから、
優秀な《Author》であるわたくしや、BOON-A-NAITO-<1>の評価を下げようとしているのでしょう)
しかし、衝突の寸前に視界の隅にうつった、クールの表情が思い起こされた。
一瞬しか捉えられなかったが、力の入った顔をしていた。“目を見開き、歯を食いしばった表情”を。
ξ-⊿-)ξ(動揺? 恐怖? 今までずっと、平然としていたのに?
……いいえ、それは関係ありませんわ。
どれほど決意していても、死の直前となれば誰もが怯えるものです。表情に意味はありません)
記憶を遡り終えた彼女は目を開き、クローン施設内に用意されている装備を身に着けていく。
赤色のレーザー銃とベスト。《Author》に支給される装備はこの二つだけだ。
他の装備品はトラブルシューティングに応じてのみ、ブリーフィングで支給される。
支給されていない武器の所持は、都市への反逆行為となる。発見次第、処刑するのは義務だ。
ξ*゚ー゚)ξ(それにしても……わたくしさえ死んでいなければ、褒めてあげたいほどなのですが……。
“今の腐った【シュガー・ボード】で大人気作品”の『サポートフェアリーズ』を<打ち切り>にして、
更に、自動車事故という小規模なものとはいえ、この都市を破壊したことには間違いないですもの)
クローン施設を後にして、ツンデレは<アンカー>に乗り込んだ。
迅速な行動、的確な判断は完璧なトラブルシューターの理念とされている。
- 243 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:32:12 ID:QkQyhyRg0
- ξ゚⊿゚)ξ(……)
ξ;゚⊿゚)ξ ?
先ほど纏めた、事故についての思考がふいに絡みついた。
ξ;゚⊿゚)ξ(何か、おかしくありませんか? 何か、見落としているような……。
わかりませんわ。なんでしょう。そうですわ。予知をしましょう……)
_______∧,、_{ = = ト、 i. =xヘ / ,x==- l l / ,.,ヽ=ニ 二 ニ =´_ _______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` ̄ {= ‐ i ヘ l, li 灯}ヽ/ u´ だカ :i / y´ i { = ≡ = `}  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ゝ‐-=ヘ ハ ヒ:リ 弋ツ ui/ ,ィ / {= ≡ = ‐ }
{´= =ヘヘ u /ィ. , ,イ ゝ= = {
ξ;゚⊿゚)ξ(『○』。
“アンカーに乗る行動”の判断は『○』ですわ。
わたくしは間違っていない。では、何が……? 気のせいでしょうか……?)
ツンデレの超能力は、“自分がとっている行動の判断基準になる”だけであり、
“思考の方向そのもの”が“正しいものなのかどうか”の判断には何の役にもたたない。
<アンカー>から機械音声が流れてくる。
しかし、ツンデレの耳には入っていない。操作を行う前にゆっくりと、もう一度考えたかった。
ξ;゚⊿゚)ξ(不安が拭えませんわ。どうしてでしょうか。
COOL-A-STRAIGHTについて、まだ考察が不十分でしたか?
それとも、BOON-A-NAITOやDOKUO-A-MELANCHOLYの重要な行動を見落とした?)
- 244 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:33:03 ID:QkQyhyRg0
- ツンデレを曖昧な予感と漠然とした焦燥感が襲う。胸の内がざわつき、汗が流れる。
ξ;゚⊿゚)ξ(……そうですわ。COOL-A-STRAIGHTも確か<第三総合案内区画>に住んでいます。
だから、彼女――ナンバー<5>となった――も、さっきのクローン施設で目覚めたはずですわ。
直接、話を聞けば良いじゃあありませんか。彼女の意思か、そうでないかを)
ツンデレは<アンカー>の扉を開けて再び外へと出た。
そして、クローン施設へと歩いて行く途中、はたと足を止めた。思わず、額に手を置く。
ξ;ノ⊿-)ξ(いやいやいや、ちょっと待ってください。落ち着きましょうよ)
ξ;ノ⊿-)ξ(COOL-A-STRAIGHT-<5>に『あなたがあの事故を起こしたのですか?』と聞いても、
“正直に”答えてくれるわけがないでしょう。『操られていた』と言えば、解決するのですから)
ξ;ノ⊿-)ξ(それが真実だろうが虚偽だろうが、わたくしに確かめる術はありません)
ξ;ノ⊿-)ξ(“その個体すべてが反逆者である”、という考えは、
“わたくしが反逆者だからこそ”、抱く思想ですわ)
額から手を外した。
“こんな大前提を、改めて頭の中で組み立てなければいけないほど、自分は焦っているのか”?
思わず、先ほど完結したクールへの考察をもう一度考え直したくなったが、時間の無駄だと堪えた。
- 246 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:36:02 ID:QkQyhyRg0
- “【シュガー・ボード】の規則”から足が外れている。しっかりと踏みしめなければ。
出発地点を間違えてはいけない、と用心する。“二重思考”の緩みは死に直結しているのだ。
ξ;゚⊿゚)ξ(何者も、生まれた瞬間はコンピューターに絶対なる忠誠を誓っていて、
生きていくうちに反逆的思想に染まり反逆者となる、とコンピューターは考えています)
ξ;゚⊿゚)ξ(住民が“誤って”反逆的な危険思想を抱いてしまった場合に備えて、
コンピューターは住民ひとりにつき、
五体分――<2>、<3>、<4>、<5>、<6>―――のクローンを用意しているのです)
ξ;゚⊿゚)ξ(そのため、危険思想は“その人物”が抱いただけで、
“その人物”が死ねば、反逆の疑いは完全に晴れるとされていますわ)
ξ;゚⊿゚)ξ(次のクローンに記憶を引き継ぐように設定されているのは、
『愚かな前任の自分と同じ行動を、今回の自分がとらないように戒めるため』、と、
幼い頃に教育を受けましたが、実態はまるで違います)
ξ;゚⊿゚)ξ(わたくしのような反逆者はそれを逆手にとって、“仕切りなおして”います。
新たなクローンは、都市的には完璧に許された状態として、
“反逆の疑いがまったくない個体”として始まるのですから……)
ξ;゚⊿゚)ξ(ですから、『前任は救いようのない反逆者でしたが、今のわたくしは完璧です』。
この一言だけで、何も追求できなってしまいます)
ξ;゚⊿゚)ξ(反逆的性向も見られないのに追求し続ければ、
『そんなに確認をとらなければならないほど、疑わしいことがあるのですか?』と、
反対に、わたくしが追求されてしまいます。そして、それは“好ましくない”ものです。
相手が反逆者なら、こちらの“真実”を知られてしまうかもしれません)
- 247 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:37:58 ID:QkQyhyRg0
- ツンデレは立ち尽くしている。クールと会話したほうが良いのか、
それとも、現場に向かった方が良いのかどうか判断を下せなかった。
ξ;゚⊿゚)ξ(『COOL-A-STRAIGTH-<5>と会話をするか?』という行動は、“どこまで行けば”なのでしょうか。
クローン施設へと向かえば“判断してくれる”でしょうか? そこで『☓』と出たら?
彼女と会い、そこで『☓』と判断された次の瞬間わたくしは処刑されているかもしれません)
ξ;゚⊿゚)ξ(彼女も馬鹿ではありません。
何か情報を手にしているかもしれませんし、戻ってきたことを追求されるかも……。
弁舌では彼女に勝てる気がしませんわ……“何か超越したもの”を感じます)
ξ;゚⊿゚)ξ(もしも――まずありえないとは思いますが――COOL-A-STRAIGTH-<5>が、
超能力者なのでしたら――以前組んだ時にはそのような動向は見られませんでしたが――、
逆に情報を引き出されかねません。……しかし、この不安は……?)
ツンデレが頭を悩ませている間にも、時間は進んでいる。
クールが別のルートで先に<第二総合案内区画>に到着してしまった場合、
同じ施設で目覚めたのにどうして到着時間に差があるのか指摘され、欠点になるのは間違いない。
- 248 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:38:58 ID:QkQyhyRg0
- ξ;゚⊿゚)ξ
ツンデレはただ立ち尽くしていたが、はっと我に返った。
何分の間そうしていたのだろう……力を込めて足を動かした。弾かれたように踵を返す。
そして、超能力を行使した。
_______∧,、_{ = = ト、 i. =xヘ / ,x==- l l / ,.,ヽ=ニ 二 ニ =´_ _______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` ̄ {= ‐ i ヘ l, li 灯}ヽ/ u´ だカ :i / y´ i { = ≡ = `}  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ゝ‐-=ヘ ハ ヒ:リ 弋ツ ui/ ,ィ / {= ≡ = ‐ }
{´= =ヘヘ u /ィ. , ,イ ゝ= = {
ξ゚⊿゚)ξ(……『○』!
どういう理由かはわかりませんが、ただひとつだけわかっていることがあります!
“この行動”は『○』ですわ! COOL-A-STRAIGHT-<5>とは接触しません!
今すぐ、<第二総合案内区画>へ向かいます! 彼女が遅れたら、それを指摘してやりましょう!)
彼女は、すぐに<アンカー>へと乗り込んだ。
おなじみの機械音声が、再度、彼女を歓迎する。
既に、ツンデレは迷いを振り切っていた。
自分の中で納得ができていなくても、予知能力が判断の理由を教えてくれなくても、
“自分が最も信頼を寄せているもの”が今の行動の背中を押してくれている。
そう認識するだけで、なにもかもがすべて、上手くいくような気がした。
- 249 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:40:42 ID:QkQyhyRg0
- 21.<事故の後で/COOL-A-STRAIGHT-<5> ―― クール=川 ゚ -゚) ―― >
<第三総合案内区画>のクローン施設でクールは目覚めた。
クローンが意識を獲得した瞬間、仰向けに寝ている自分を感覚していた。
川 ゚ -゚)
まぶたを上げると、透明な壁を通して天井が見えた。
透明な容器の中に自分がいるのだと彼女――COOL-A-STRAIGHT-<5>――は理解する。
空気が抜ける音がして、わずかに容器の蓋が持ち上がった。どうやらロックがとけたようだ。
これから【シュガー・ボード】の住民となり都市への奉仕活動へ励まなければならない。
クールは興奮していた。思わず、口元が緩む。
クローンナンバーを増やしてしまったが、それに余りある情報を手に入れたと確信していた。
川*゚ ー゚)(“BOON-A-NAITO-<1>が反逆者である”、という考えに、他の二人は辿りつけただろうか?
いいや、直接操られたわたしにしか得ることができていない、貴重な情報だろう)
確かな希望と、みなぎる活力を感じた。
完全無欠かと思われたブーンだったが、実のところは二重思考を行なっていたのだ。
自分たちと同じ――【シュガー・ボード】に忠誠を誓っていない――ならば、必ず、隙ができる。
言葉を交わし、思考と行動の一致しない部分を暴く行為に関して、彼女は“特別の技能”を持っていた。
- 250 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:42:58 ID:QkQyhyRg0
- 川 ゚ ー゚)(……さて、状況のおさらいだ。
<第二総合案内区画>へと、わたしが運転する自動車で向かっていたら、
わたしは不意に“からだの自由を奪われた”……)
川 ゚ ー゚)(徐々にアクセルを踏んでいく足と、動かせない全身――名前はわからないが、
人を押さえつけて操作する類のものだろう――……間違いなく、超能力による作用だろうな)
川 ゚ ー゚)(しかし、“超能力感知器は作動していなかった”。
あの状況で、超能力感知器の電源が入っていないのはありえないと誰でもわかる。
超能力者は絶対に超能力を使用しないだろう。だが確実に、わたしに超能力が働いた。
つまり、行使者は、超能力感知器を操作できるBOON-A-NAITO-<1>で間違いない)
川 ゚ ー゚)(だが、あの衝突ではヤツも生きていないだろうな。
自分をひとり犠牲にして、我々全員のクローンナンバーを増やしに来るとは……。
わたしも考えたが、普通は実行しないだろう……まあ、貴重な情報を得られたので良しとしようか)
クールは容器から出ると、用意されていた服を着た。
クローン施設の職員と会話して赤色のレーザー銃とベストを受け取る。
- 251 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:44:45 ID:QkQyhyRg0
- 川 ゚ -゚)(しかし、どうしてBOON-A-NAITOが我々を殺そうとしているんだ?
コンピューターの狂信者なら、ほんの些細な反逆行為も許容しないのだろうが、
彼自身が超能力者である以上、生きている以上、都市の反逆者だ)
川 ゚ -゚)(ならば、都市の規律を変えたいと行動するはずじゃあないのか?
彼の立場からすると『超能力者の人権を認めろ』あたりが妥当だと思うが……。
何か秘密結社に属していて……例えば、『自分以外をすべて殺す』だとか、
『超能力者以外はすべて劣った種族だ、殺し尽くせ』など、そういった、別の目的があるのか?)
服と一緒に、思考を自分に身に着けていく。よりしっかりと、揺らがないように。
川 ゚ -゚)(それとも、我々を殺したのはただのついでなのか?
“事故を起こすことそのもの”が目的だったのか?)
川 ゚ -゚)(都市破壊を信条とする組織か?
そういう秘密結社がいるらしい、と本で読んだことがあるな……
確か、『ブラウザクラッシャー』だったか?)
川 ゚ -゚)(それにしては破壊規模が小さすぎる気もするが……だめだ、情報が少なすぎる)
- 252 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:45:43 ID:QkQyhyRg0
- クールが装備を整えてクローン施設を出ると、
凄まじい音を響かせて<アンカー>が空へ吸い込まれるように飛んでいくのが見えた。
射出方向が<第二総合案内区画>の方角であることから、恐らく、ツンデレが乗っているのだろう。
川 ゚ -゚)(事故の可能性があるため、
クローンナンバーに余裕がないわたしには<アンカー>は扱えないな。
TSUNDERE-A-TTACK-<4>に事故が起きて欲しいが……)
クールは視線を空から落とし、周囲を見回すと集合住宅が見えた。
集合住宅の外壁の色は“赤色”――《Author》以上にのみ解放されているという意味だ――
なので、進入に支障はない。そして、集合住宅の近くには駐車場があるだろう。
移動手段が必要な今、うってつけの場所と言える。クールは足を集合住宅へと向けた。
川 ゚ ー゚)(自動車を保有する《Author》を発見し、処刑してから自動車を奪うとするか。
わたしがその気になれば、“なんでもない住民であっても反逆者として扱えるようになる”。
到着時間に遅れるが、『反逆者であるSYOBON-A-BROWNCHILD-<6>を速やかに
発見するために自動車は必要だ』と言えば、まず咎められないだろう)
クールは足を集合住宅へと向けた。
川 ゚ -゚)(わたしの行動に変わりはない。理想の環境の追求のため、
BOON-A-NAITO-<6>を殺す……今はただ、それだけを考えていれば良い)
- 253 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:48:20 ID:QkQyhyRg0
- 22.<事故の後で/BOON-A-NAITO-<2> ―― ブーン=( ^ω^) ―― >
( ^ω^)
( ^ω^)
(#^ω^)
(#^ω^)
(#ノω^)
(#ノω^)
(#^ω^)
(#^ω^)
( ^ω^)
( ^ω^)
- 254 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:49:30 ID:QkQyhyRg0
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ム-‐l | .| |┌i l_i,ィマ ┗┨ 【‘ `
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┗┨ └i rヘ〉 【‘ `
┏┛ (才P_) ┏┛
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〝┯┓, ,〟】‡’
- 255 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:54:29 ID:QkQyhyRg0
(#゚ω゚)(トラブルシューター達は、“今回も”反逆者なのかお……)
(#゚ω゚)(DOKUO-A-MELANCHOLY、TSUNDERE-A-TTACK、COOL-A-STRAIGHT。
“この中の誰かが反逆者であるということは、そいつ以外の全員も反逆者”だ……)
(#゚ω゚)(TSUNDERE-A-TTACKは優秀な《Author》であると信じていたのに……。
彼女も、始末しなければならない。反逆者を放置するなんて……)
意図的に事故を起こした人物が、三人の中に存在するのは間違いない。
それにもかかわらず、さきほどの事故を未然に防ぐことができなかったのは、
その住民に現れていた反逆的性向を発見できず、警戒を怠っていたからである。
(#゚ω゚)(ぼくが、責任をもって奴らを始末するッ!
そうすることが、コンピューター様への償いとなるお)
(#゚ω゚)(それにしても……いつも現れる……コンピューター様に従わない反逆者が……
この都市は反逆者だらけなのかお!? なんで奉仕を誓わないんだ……?
完璧で幸福な都市なのにッ! 完璧で幸福な都市に逆らうものは!
この都市に存在してはならないんだおッ!)
(#゚ω゚)(【シュガー・ボード】は永遠に繁栄する理想郷でなくてはならないのに!!)
- 256 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:55:34 ID:QkQyhyRg0
- ブーンはこころの底から怒りに震えていたが、決して乱暴な動作をとりはしなかった。
都市のすべてはコンピューターのものである。器物破損は紛れも無い重罪だ。
鬼気迫る表情になっているのを自覚していたので、落ち着こうと目を閉じて大きく息を吐いた。
容器の中でブーンは胸に手を当てた。
慈母のごとき父なるコンピューター様が管理している巨大都市【シュガー・ボード】。
その完璧で幸福なる住民として、【シュガー・ボード】内に存在するすべての反逆者を掃討するのだ。
( -ω-)(コンピューター様への反逆行為を『C.A.K.E』で働いたことを恨むんだな。
つ と 『C.A.K.E』はコンピューター様のように優しくないぞ……
“反逆者となる可能性を持つ者も同様に始末する”のが我々だお)
コンピューターを絶対的に信仰する理念を掲げる秘密結社『C.A.K.E』。
『C.A.K.E』に属する住民は全員が揺らぐことのない忠誠心を持っており、
一度でもコンピューターが定めた規則から離反し、反逆的な行為を働いた者を決して許しはしない。
唯一無二である存在を拒否してしまった精神は、“死んでも”決して浄化されることはないと考えている。
( -ω-)(果てしなく愚かな反逆者たちはいつも、くだらない信念を抱えている。
つ と 密かな知識の蓄積、啓蒙の漸進的普及、低位階級の反乱、コンピューター様の打倒……
そんなことは、ありえないお。コンピューター様はすべてを知っている)
- 257 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:58:53 ID:QkQyhyRg0
- ( -ω-)(TAKARA-C-GIKO-<6>様が仰った通り、
つ と コンピューター様はあらゆる事象から真実を導き出す。
導き出せなかった場合、それは反逆的な隠蔽となるのだお)
( -ω-)(それにしても、『サポートフェアリーズ』が<打ち切り>になったのは辛いお……
つ と まだまだやりたい展開があったのに……けれど、何よりも読者の方々に申し訳ないお。
たくさんの感想を頂いたのに、物語を完結させないまま放り投げるなんて……反逆者め……)
( -ω-)(一刻も早く反逆者を殲滅しなければいけないお。
つ と 今の【シュガー・ボード】では、隣人や友人や、共にミッションの達成に励むトラブルシューターも、
反逆者である可能性はありえないとは言い切れないどころか、実情は反逆者ばかりだったお)
(#-ω-)(奴らが、掲示板で――現実世界で――ぼくの作品の悪口を言わない保証はないんだお。
つ と 自分自身の好みで好き勝手に作品を判断し、“否定的な感想”を残す奴らが、
今回のトラブルシューターだとは! こんな奴らと協力なんてありえないお!)
(#-ω-)(感想を受け取る作者の環境のために!
つ と 物語を受け取る読者の環境のために!
血も涙もない反逆者が【シュガー・ボード】に存在してはならないんだお!)
胸の内で燃えたぎる決意を冷ますように最後に長く息を吐き終えると、容器から身を出した。
- 258 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:01:37 ID:QkQyhyRg0
- 波や数値が変動する機械が傍らに置かれた透明な容器が並び、
<第四総合案内区画>――最も新しい<奉仕区画>――のクローン施設。
磨きぬかれた床に汚れ一つない壁。ブーンが、はじめてみる景色だった。
( ^ω^)(本当にクローンナンバーが<2>になってしまったのかお。
……ぼくが“二人目”? 話には聞いていたけど実感がないおね)
施設の職員がやってきて、いくつかの質問をブーンに飛ばした。
ペンライトで目を照らしたり、口の中を覗いたりするのを大人しく受け入れていると、装備が用意された。
すぐにベストを着て、レーザー銃をホルスターに収める。それから歩き出すと、背後から応援の声が届いた。
<アンカー>へと向かう道中、ブーンは車内で起きた出来事を振り返った。
逸れた後の合流方法。自分の指示。クールの反逆。ツンデレの不安。
ドクオの焦燥。クールの無視。ツンデレの要請……超能力感知器の電源の有無。
( ^ω^)(超能力感知器は……“作動させていなかった”お。
まさか、また、トラブルシューターに反逆者がいるなんて……)
(#^ω^)(反逆者が確認された――DOKUO-A-MELANCHOLY-<3>は遅刻だ。
コンピューター様への背戻とは言えない――<第二総合案内区画>へ
到着してからで良いと思っていたお。絶対に許さないお)
<アンカー>に乗り込み、何度も聞いた機械音声を聞き、慣れた手つきで座標軸を設定する。
- 259 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:04:11 ID:QkQyhyRg0
- エネルギーが完全に充填されて発射に至るまでの間、ブーンは『C.A.K.E』の教義を呟いた。
(#^ω^)(読者の為に物語を、作者の為には感想を、
奉仕の為に銃を持ち、反逆者共には死の制裁を、
しかして我ら【シュガー・ボード】の住民に加わらん。
コンピューター様に忠誠を誓い、すべての反逆に粛清を)
圧縮された膨大な空気が開放され、凄まじい音が都市を震わせた。
住民たちが蟻のように慌ただしく動き回り、活動している遙か上空を、<アンカー>が飛んでいく。
- 260 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:05:37 ID:QkQyhyRg0
- 24.<事故の後で/DOKUO-A-MELANCHOLY-<4> ―― ドクオ=('A`) ―― >
('A`)「COOL-A-STRAIGHT-<4>が不意にハンドルを切り、自動車事故が発生。
我が身を犠牲にして、我々を一網打尽にしようと考えたのでしょう。
愚かな反逆者の考えそうなことです」
('A`)「おれ――DOKUO-A-MELANCHOLY-<4>――はとっさに自動車から飛び降り、
多少の傷は負ったが死にはしませんでした。今から、彼らの遺体から装備を回収します」
事故現場にカメラを向け、呟いた。これで録音されているだろう。
メモ帳にも事の経緯を――主観的な視点から、多くの私情を交えて――記載した。
原型をとどめていない自動車に近づき、絶命した“三人”へと近寄った。
今頃は、クローンが目覚めて前任の記憶に唖然としているだろう。
トラブルシューターの欠員はトラブルシューティングに支障が出るので、
クローンが残っている限り、再び派遣される。トラブルシューティングの達成は最重要任務だ。
('A`)(超能力感知器が反応するようなら、すぐにBOON-A-NAITO-<1>を殺そうと思っていたが……
電源を入れていないのは致命的だろ。住民を信用しすぎだぜ。おかげで、三人殺せた)
ドクオは“とてつもない速度で走っていた自動車から飛び出し、
何度も地面の上を転がったにも関わらず、ほとんど傷を負っていなかった”。
- 261 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:05:55 ID:3FqbrMHQ0
- ブーンはほとんど完璧な存在かと思っていたが甘ちゃんなんだな
これまでは運が良かったのか、単に経験自体不足しているのか
- 262 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:08:09 ID:QkQyhyRg0
- ('A`)(カメラは耳にとりつけられていて、前を向いているから、自分のからだは映らない。
後でこの映像を再生してもおかしなことは何もない。衝突の直前に扉を開いて脱出し、
地面に叩きつけられて転がったのは事実だからな……おれの嘘の報告がバレることは絶対ない)
ドクオは息を吐いた。呆れを意味するそれを、細く長く行った。
('A`)(しかし、まさかとは思っていたが……これで確信した。
“BOON-A-NAITOはコンピューター信者”だ。それも、かなり狂信的な)
('A`)(反逆者の存在を確認するまで決して疑わないなんてのは、
“自分自身がそうだから、他人もそうである”と思っている証拠。
クローンナンバーが<1>だったのも納得できるぜ。まさに、“完璧で幸福な住民”なわけだ)
('A`)(今までに一度も死ななかったのは、運が良かっただけだろうな。
おれの超能力なら、簡単に殺せる。……が、油断は絶対にしねえ)
“念動力――精神の力で物体を操作する――”がドクオの持つ超能力だ。
内側からかかっている鍵を外から開けたり、他人の身体を押さえつけたり、
自分の身体に作用させ、思いのままに空中を移動することも可能だ。
今回、自動車の扉を開いて脱出し、地面を転がったのに軽傷であるのは、
自分自身に“衝撃を押しのける念動力の膜”を張っていたためだ。
予想外の事態による動揺と、迫り来る衝突の恐怖に怯えていた三人はドクオの脱出に気がつくはずもない。
- 263 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:11:01 ID:QkQyhyRg0
- この膜は、実弾を扱う銃火器や刀剣類にも、もちろん有効である。
タイミングさえ間違わなければドクオに傷ひとつつけられないだろう。
ただし、レーザー銃には完全に無力であるため活躍の機会が訪れたことは未だない。
ツンデレの予知能力は、使用者も原因不明の不明瞭な天啓である。
そのため、研鑽して能力の向上に努められず、
より良い性能の超能力へと進化することができない。
対して、ドクオの念動力のような、物理的に作用を及ぼす系統の超能力は、
個人の技量によって超能力の効果は大きく変動する。
何度も使用を繰り返して超能力を理解することで、より優れた効果を及ぼせる。
ドクオは念動力の使用に慣れており、特に繊細な働きが得意であった。
しかし、鍛錬できるのはあくまでも効果の大小であり、
成功の確率は決して向上しない。先述した通り、どれだけ努力しようと、
確率的には五%――二十回に一度――失敗の可能性が存在する。
ドクオは過去に、『スマイリードッグ』の人脈を利用して、
今までに確認された超能力をまとめた本――閲覧規制《Collector》以上――を読んだことがある。
読破した後、自身の念動力はすべての超能力の中でも、一際秀でたものだと考えていた。
('A`)(“同時にひとつのもの”にしか作用できないが、
その欠点を補って余りある汎用性!
……この【シュガー・ボード】で生き残るのに最も適した能力だ!)
- 264 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:11:04 ID:IvtkeNDE0
- >>261
反逆者なんていないはず、って考えてたからって事は、完璧すぎるがゆえに、って感じじゃない?
- 265 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:13:52 ID:3FqbrMHQ0
- >>264
んだな、ドクオも説明してくれてた
- 266 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:15:56 ID:QkQyhyRg0
- ドクオは三人の身体から、支給された装備品――超能力感知器、クスリ、新装備――を回収すると、
自動車が炎を上げる前に素早く立ち去った。
('A`)(アイツの忠誠心がそれだけ高いってことは、反逆的行動に決して容赦がないってことだ。
ほんの少しでも隙を見せたら、次の瞬間には処刑されているかもしれないな。
自分にとっての理想郷である【シュガー・ボード】を荒らすものにはどこまでも残忍になるだろう)
彼は、自分が住んでいる区画よりはまだ少し綺麗な街の景色を眺めながら歩いている。
道なりに進んでいくと、大きなアーチが登場した。一見してわかるほど錆びており、
風が吹くと軋む音が響いている。さらに、その大きさが寂しさを増長させていた。
緩やかに弧形を描く上部に文字が取り付けられている……<第二総合案内区画>と書かれていた。
('A`)(一時の熱狂で建造物を作り、事故が起きたり、流行が移り変わったりすると、
ついこの間まで楽しんでいた場所をあっさりと見捨てやがる。
無駄な建造物を増やしやがって。我々『スマイリードッグ』がこの都市を変えてやるからな……)
('A`)(読者に人気の作品を書いている奴らも同じだ。作者に長い感想を書いている奴らも同じだ。
コンピューターや高位階級者に寄生し、都市全体のバランスを保たない人気作者どもこそ、
都市を蝕む寄生虫!! いや……“規制獣”か!!)
アーチをくぐり、<第二総合案内区画>へと突入した。
まずは、安全な場所で待機して三人のトラブルシューターの合流を待たねばならない。
('A`)(BOON-A-NAITO-<2>以外のどちらかがひとりでやってきたら、
『スマイリードッグ』へと勧誘してやろう。平等の素晴らしさを教えてやるぜ)
頭の中で説得の言葉を練りながら、ゆっくりと<第二総合案内区画>へと侵入する。
これから四人の反逆者も待っている――『スマイリードッグ』に勧誘しても良いし、
コンピューターの評価向上のために始末しても良い――のだ。自然と口角がつり上がった。
- 270 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 05:26:13 ID:WL6MF0bk0
- おつ
クーのミスリードは致命傷になりそうだな…
- 272 名前:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 10:56:42 ID:41wMU8960
- 今回も面白かったです!
私はシュガー板の住人として完璧に幸福です
CAKEって何の風刺なんだろう
砂糖の信者ってこと?
- 273 名前:名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 18:41:45 ID:hB59L6P60
- カメラあんのに勧誘なんてできんのか
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